研究課題
本研究のテーマである、People living with HIV(PLWH)における男性性腺機能低下とPLWHの診療における重要なテーマとなっている生活習慣病との関連についての評価を行った。臨床的な側面として、所属施設に通院しているPLWHを対象に後ろ向き観察研究を行い、関連性の評価を図った。通常診療にて行っていた遊離テストステロン値を用い、通院患者約150名中60名の方に参加いただき遊離テストステロン値と、高血圧症、糖尿病、脂質異常症やソ連関わるパラメーターとの関連を評価した。結果として、低遊離テストステロン値は高齢、ヘモグロビン低値や高血圧症あり、高コレステロール高値、HbA1c高値との関連が示され、血清遊離テストステロン値と生活習慣病との関連が日本人男性PLWHにおいても関連があることが明らかとなった。また本研究では治療薬であるインテグラーゼ阻害剤を用いている患者ほど遊離テストステロンが高値であることも明らかになり、現在主流である同薬が男性性腺機能を維持する面でも優位であることを示す興味深い結果であった。この結果は国際誌Current HIV Researchに投稿し、2022年度に掲載された。基礎的な側面としては、残念ながら有意な結果は得られなかった。HIVのコンポーネントとして、GP120やGP41、またP-17、抗HIV薬であるABC、TAF、DTG等を用い、肝細胞であるHEPG2細胞へ刺激を加えSHBG産生の評価を行ったが特に有意な所見は得られなかった。一方でHIV陽性者で高値となるB細胞刺激因子BAFFがHEPG2細胞からSHBG産生を促進することが見いだされ、間接的に遊離テストステロン値低値を導く可能性が示唆された。これらは別の系統の研究として、現在も評価を継続している。
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