研究課題/領域番号 |
20K08850
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
松尾 一彦 近畿大学, 薬学部, 講師 (70615921)
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研究分担者 |
中山 隆志 近畿大学, 薬学部, 教授 (60319663)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ワクチンアジュバント / CTL / P2受容体 / 加水分解抵抗性ATP |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、P2受容体が粘膜特有のCD70陽性樹状細胞に発現すること、また、メモリーCTLの生存維持に関与することに着目し、P2受容体を介したエフェクター/メモリーCTL誘導およびその維持機構を解明し、P2受容体のアゴニストである加水分解性抵抗性APTのワクチンアジュバントとしての有用性を検証することである。 本年度は、加水分解抵抗性ATPによって誘導されたエフェクターあるいはメモリーCTLが抗腫瘍活性を示すかどうかについてin vivo担癌モデルマウスを用いて検討した。モデル抗原OVAと加水分解抵抗性ATPを経鼻投与し、エフェクター期およびメモリー期にOVA発現腫瘍細胞 (E.G7-OVA)を皮内に接種した。経日的に腫瘍体積をモニタリングした結果、加水分解抵抗性ATPを併用した場合において、有意な腫瘍増殖抑制効果を認められた。さらに、この効果はP2受容体の阻害剤であるスラミンの投与によって消失した。これらの結果から、加水分解性抵抗性ATPによって誘導されたCTLによって有意な抗腫瘍効果を示すことが明らかとなり、加水分解抵抗性ATPは機能的なCTLを誘導できるアジュバントとしての活性を有することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の根幹となる加水分解抵抗性ATPによるCTl誘導を介した抗腫瘍効果を検証する項目について、順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、加水分解抵抗性ATPにより刺激したCD70陽性樹状細胞の活性化マーカーの発現、メモリーT細胞誘導に関与する分子の発現、T細胞分化に関与するサイトカイン産生についてフローサイトメトリー、ELISA、qPCRにより解析する。このように、加水分解抵抗性ATPによる病態改善効果および、CD70陽性樹状細胞を介した免疫誘導機構について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、新型コロナウイルス感染症蔓延の影響で、研究計画が多少変更になり、多少の繰越が生じた。これについては、次年度に請求する研究費と合わせて使用する計画である。
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