A型肝炎ウイルス(HAV)の感染、増殖に重要な宿主因子を同定する目的で、標的タンパク質が明らかになっている既知の薬理活性化合物ライブラリーのスクリーニングを行なった。その結果、統合失調症の治療薬としてFDAに承認されているロキサピンを同定した。ロキサピンはドーパミンD2受容体(DRD2)の阻害剤であるが、HAVが増殖複製する肝細胞ではその発現が認められないため、DRD2を介さずに作用している可能性が考えられた。ロキサピン耐性ウイルス変異の解析からHAV 2Cタンパク質に直接作用する事が示唆された。またロキサピンの抗HAV効果は培養細胞のみならず感染マウスモデルでも認められた。
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