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2020 年度 実施状況報告書

H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスのシアル酸非依存的感染機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K08854
研究機関公益財団法人東京都医学総合研究所

研究代表者

梶原 直樹  公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 主任研究員 (70453917)

研究分担者 芝崎 太  公益財団法人東京都医学総合研究所, 病院等連携支援センター, 研究員 (90300954) [辞退]
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードインフルエンザ / H5N1 / 抗体 / ヘマグルチニン / シアル酸
研究実績の概要

これまでの研究により、我々は、① H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルス (A/Vietnam/UT3040/2004)がシアル酸欠損細胞にも感染可能であること、② A/Vietnam/UT3040/2004のシアル酸非依存的な感染はH5亜型のヘマグルチニン (HA)に対する抗体である抗H5 HA抗体の処置によって著しく阻害されることを見出した。H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染阻害薬を開発するため、シアル酸非依存的な感染経路の分子機構の解明が非常に重要である。
当該年度は、3種類の抗H5 HA抗体 (3B9, 8C1, 14A7)のエピトープの解析を行った。まず、化学合成ペプチドを用いたエピトープマッピングを実施したが、3B9はいずれのHAペプチドにも結合しなかった。8C1および14A7も、3B9と同様に化学合成ペプチドに対して反応性を示さなかった。このことから、3種類の抗H5 HA抗体はHAの立体構造や修飾された糖鎖を認識している可能性が示唆された。次に、リコンビナントHAタンパク質に対する抗H5 HA抗体の反応性を評価した。3B9はH5亜型のリコンビナントHAタンパク質を幅広く認識したのに対して、8C1および14A7はある種のリコンビナントHAタンパク質と選択的に反応した。組換えタンパク質に対する反応性とアミノ酸配列の比較解析によって、3種類の抗H5 HA抗体のエピトープ候補領域を抽出した。次年度、HA及び各種変異体の発現ベクターを作製し、FACSやWestern blotにより抗体の反応性を評価することで、抗H5 HA抗体のエピトープを決定する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和2年度は、H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスのシアル酸非依存的な感染経路の分子機構を解明すべく、抗H5 HA抗体のエピトープ解析を実施した。化学合成ペプチドを用いた実験ではエピトープを決定することができず、組換えタンパク質に対する反応性から候補領域を絞り込む必要が生じたため、計画通りにHAタンパク質発現系による抗H5 HA抗体のエピトープの決定を行うことができなかった。したがって、「やや遅れている」と評価した。

今後の研究の推進方策

組換えタンパク質に対する反応性とアミノ酸配列の比較解析により、抗H5 HA抗体のエピトープ候補領域を抽出することに成功した。この結果をもとに、A/Vietnam/UT3040/2004のHA及び各種変異体の発現ベクターを作製し、293T細胞に遺伝子導入する。FACSやWestern blotなどにより抗体の反応性を評価することで、抗H5 HA抗体のエピトープを決定する。

次年度使用額が生じた理由

(理由) 現在までの進捗状況に記述した通り、エピトープ解析を計画通りに進めることができなかったため、次年度使用額が生じた。
(使用計画) 生じた次年度使用額については、2021度中に使用する予定である。使用目的は、主として交付申請書に記載の通りであり、未解決の研究課題実施のために使用する。
具体的には、分子生物学実験試薬、細胞培養試薬、抗体等の一般試薬などの物品購入費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Cell-penetrating peptide-mediated cell entry of H5N1 highly pathogenic avian influenza virus2020

    • 著者名/発表者名
      Kajiwara Naoki、Nomura Namiko、Ukaji Masako、Yamamoto Naoki、Kohara Michinori、Yasui Fumihiko、Sakoda Yoshihiro、Kida Hiroshi、Shibasaki Futoshi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 10 ページ: 18008

    • DOI

      10.1038/s41598-020-74604-w

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスの膜透過性ペプチドを介した細胞侵入機構2021

    • 著者名/発表者名
      梶原 直樹、山本 直樹、小原 道法、安井 文彦、迫田 義博、喜田 宏、芝崎 太
    • 学会等名
      日本薬学会第141年会
  • [備考] H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスの新しい感染の仕組み

    • URL

      https://www.igakuken.or.jp/topics/2020/1022_2.html

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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