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2020 年度 実施状況報告書

骨格筋のAktを中心とした老化制御機能の解明と治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K08857
研究機関東京大学

研究代表者

笹子 敬洋  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20550429)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードサルコペニア / 糖尿病 / 老化 / インスリン抵抗性 / 骨粗鬆症
研究実績の概要

まずサルコペニアモデルであるmAktDKOマウスを24時間絶食に置いたところ、骨格筋から供給されるアラニンの血中濃度と血糖が有意に低下しており、アラニンを基質とした肝臓での糖新生が低下しているものと考えられた。一方で血中ケトン体は代償的に高値であった。このマウスに30%カロリー制限を行なったところ、筋力は対照マウスと同程度であったが、体重は対照マウスよりも減少幅が大きかった。血中ケトン体は上昇しており、一般にはこれは持久力の改善につながることが期待されるが、実際にmAktDKOマウスにおける持久力の低下は寧ろ進行していた。更に一般にカロリー制限は寿命を延長することが期待されるが、このマウスではカロリー制限により、過半数の個体が数週間のうちに死亡することが観察された。このことからサルコペニアにおいては低栄養に対する耐性が低下していることが示唆され、日常臨床においてもサルコペニア患者に対する過度のエネルギー制限は有用でなく、個々の症例に合わせた食事療法の個別化の重要であるものと考えられた。
またこのマウスの腫瘍耐性を検討する目的でメラノーマ細胞の接種実験を行なった。その結果、mAktDKOマウスにおいては腫瘍の長径が増大し、重量も増加傾向であった。この実験系は、腫瘍の発生でなく増殖を評価する系であるが、今回の結果より骨格筋は、全身の他組織における腫瘍の増殖を制御している可能性が考えられた。
加えてmAktDKOマウスの骨格筋におけるトランスクリプトーム解析を複数の週齢で行なったが、既知の遺伝子変化はある程度再現されたものの、特に分泌因子については有意な変化を示すものは少なかった。現在その中から、特に骨形成・骨吸収に関連し、骨粗鬆症の病態形成に寄与するようなものの絞り込みを進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画は、①トランスクリプトーム解析、②低栄養における表現型の解析、③腫瘍耐性・認知機能の評価、④FoxO阻害薬による治療効果の検討、の大きく4点であった。上記の通り、②の解析はほぼ完了し、①③についても解析が進んでいる状況である。

今後の研究の推進方策

引き続き上記①③について、当初の計画に沿って解析を進める。また④についても解析に着手する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 日本人と欧米人のサルコペニア肥満の相違2020

    • 著者名/発表者名
      笹子 敬洋、植木 浩二郎
    • 雑誌名

      日本サルコペニア・フレイル学会誌

      巻: 4 ページ: 16-21

  • [雑誌論文] 糖尿病、肥満動物に関わる実験手法についてNo.17 筋肉における糖代謝の評価法2020

    • 著者名/発表者名
      笹子 敬洋、小林 直樹、植木 浩二郎
    • 雑誌名

      日本糖尿病・肥満動物学会NEWS LETTER

      巻: 24 ページ: 3

  • [学会発表] 骨格筋のインスリン作用とサルコペニア肥満の病態形成2021

    • 著者名/発表者名
      笹子 敬洋, 山内 敏正, 門脇 孝, 植木 浩二郎
    • 学会等名
      第41回日本肥満学会
  • [学会発表] 骨格筋のインスリン作用による筋量と代謝の制御機構2020

    • 著者名/発表者名
      笹子 敬洋, 山内 敏正, 門脇 孝, 植木 浩二郎
    • 学会等名
      第63回日本糖尿病学会年次学術集会

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公開日: 2021-12-27  

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