研究課題
サルコペニアモデルであるmAktDKOマウスにおいて、Aktの下流の転写因子FoxOは活性化していたため、その不活化はサルコペニアに対して治療効果を示すことが期待される。そこでこのマウスにおいて、FoxO阻害薬であるAS1842856による治療効果を検討した。その結果、既にサルコペニアを呈している90週齢のmAktDKOマウスに対して4週間投与を行なったところ、体重や遅筋重量には差がなかったものの、速筋重量の増加を認めた。一方で対照マウスにおいては、同薬の投与を行なっても、筋重量の変化は見られなかった。同様に、サルコペニア発症前の8週齢のmAktDKOマウスに対して、同薬の4週間投与を行なったところ、やはり速筋重量が増加していた。このことからFoxO阻害薬の投与が、特に骨格筋におけるインスリン抵抗性を背景としたサルコペニアに対して、治療効果のみならず、予防効果を示す可能性が示唆された。一方40週齢のmAktDKOマウスにおけるトランスクリプトーム解析について、パスウェイ解析を追加で行なったところ、mAktDKOマウスで発現が低下したパスウェイの多くは、ミトコンドリアやATP合成関連のものであった。一方で一般に筋量の制御に重要と考えられているユビキチン・プロテアソーム系のパスウェイについては有意な変化が見られなかった。これらの結果はいずれも、RT-PCRの結果と一致することが確認された。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画は、①トランスクリプトーム解析、②低栄養における表現型の解析、③腫瘍耐性・認知機能の評価、④FoxO阻害薬による治療効果の検討、の大きく4点であった。②、並びに③のうち腫瘍耐性に関する解析は昨年度完了し、今年度は上記の通り、①④についても解析が進んでいる。
引き続き上記③を中心に、当初の計画に沿って解析を行ない、また論文化を進める。
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Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle
巻: 13 ページ: In press
10.1002/jcsm.12975
http://researchmap.jp/sasakotaka/