研究課題
本研究は、ヒトES/iPS細胞から視床下部神経幹細胞への分化誘導法を確立し、この細胞が神経幹細胞として機能することを示すのが最終目的である。当研究チームでは、マウスES細胞を用いた視床下部神経幹細胞分化の先行研究を世界初で報告し、また、ヒトES/iPS細胞を用いた視床下部神経への分化法を基盤技術として維持している。いずれも当研究チームの独自技術で、これらを組合わせてヒト視床下部神経幹細胞の分化・同定研究を進めた。具体的には以下の3項目を並行して進めた。項目A. ヒトES細胞のRax::Venusノックイン株を用いて視床下部神経幹細胞を単離、同定:2021年度までに、Rax持続陽性細胞を多く採取できる培養法を確立、Venusを目印に分離採取したRax持続陽性細胞がneurophereを形成し継代可能であること(自己増殖能)と、視床下部神経やグリア細胞への多分化能を持つことを示した。2022年度はneurosphere凍結保存をある程度可能としたものの細胞生存率が充分には高くない問題点がある。以上により、in vitroでの視床下部神経幹細胞としての性質を証明した。項目B. 表面抗原を検索し、ノックイン細胞でなくとも視床下部神経幹細胞を単離可能にする:2021年度までにRax::Venus持続陽性細胞の表面抗原解析である程度特異的な表面抗原を同定した。2022年度はノックインされていない野生型ヒトES/iPS細胞を材料にこの表面抗原でsortし、分取した細胞が多分化能と自己増殖能とを持つことを示した。項目C. 動物移植により、生着と視床下部神経への分化を証明する:ヒトES/iPS由来Rax持続陽性細胞をマウス脳視床下部に移植、細胞が生着し視床下部神経やグリアに分化することを示した。以上の成果をまとめて2023年3月に論文報告した。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件) 産業財産権 (1件)
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