研究課題/領域番号 |
20K08865
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
下村 健寿 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90636226)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | KATPチャネル |
研究実績の概要 |
ATP感受性が低下して開口状態に傾くKATPチャネルのチャネルポアを構成する変異型の内向き整流性カリウムチャネル(Kir6.2-R50P)をウィルスベクターを用いて骨格筋培養細胞であるC2C12ならびに膵β細胞培養細胞であるMIN6に発現させた。これによりヘテロ状態の変異型KATPチャネルがC2C12とMIN6それぞれに発現していることを確認した。その結果、C2C12とMIN6においてともに膜電位の低下が確認された。 これらの細胞に対してパッチクランプ法を用いてKATPチャネルの電流値を測定したところ野生型のチャネルよりも開口傾向が高いことを確認し、Gタンパク受容体刺激にともないPIP2を減少させることを試みた。MIN6細胞における検討ではオキシトシンなどのGqタンパク受容体刺激は野生型のKATPチャネルにおいてはチャネル活性に変化を及ぼさなかったが、開口変異型KATPチャネル(Kir6.2-R50P/SUR1)ではチャネルの活性が低下し、チャネルが閉まる方向に傾くことが確認できた。この際、Kir6.2-R50P/SUR1型のKATPチャネルのシングルチャネル解析を同時に行ったが、その開口確率(Po)に変化は確認されずただ、ATPの感受性が低下していることが確認できた。 一方、骨格筋培養細胞であるC2C12では上記のMIN6において確認されたチャネル閉鎖作用は認められなかった。これは骨格筋細胞型KATPチャネル(Kir6.2/SUR2)ではPIP2の感受性が異なることが示唆されたことと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞レベルで野生型・変異型KATPチャネルの発現ならびに電気生理学的(single cell patch clamp)検討は当初の予定通り進行している。 それぞれの予想された電気生理学的特性(膜電位の変化ならびにATP感受性の変化)などが測定されており、本年までの成果はScientific Report誌などに英文原著論文として発表した。
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今後の研究の推進方策 |
PIP2によるKATPチャネル制御機序に関してGPCR刺激においてシグナル伝達のどの部分が影響を受けているのかを詳細に検討を行う。さらにKATPチャネルの立体構造をもとにPIP2結合がどのような影響をチャネルの開閉に作用しているのかを分子動力学計算を用いて検討し、実際の電気生理学的特性との比較を行う。 またこれらの知見をもとにマウスを用いた生体での変異型KATPチャネルの起こす病態(新生児糖尿病・DEND症候群)の検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初想定した実験では再現性を検証するため実験数を多く確保することを想定していた。しかし実験した結果、極めて高い再現性があり当初の予定より少ない実験数で再現性が確認できたため次年度使用額が発生した。 次年度においてはマウス生体の実験など実験数が想定より多くなる可能性もあることからそちらの実験に適切に使用していく予定である。
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