研究課題/領域番号 |
20K08865
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
下村 健寿 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90636226)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | KATPチャネル / インスリン分泌 |
研究実績の概要 |
KATPチャネルにおけるカリウムイオンの通過を司るサブユニットに当たる内向き整流静カリウムチャネル(inward rectifying potassium channel)であるKir6.2におけるPIP2の開口制御機序解明の研究を行った。 Kir6.2チャネルおよびその変異型をウィルスベクターを使用し、HEK細胞膜に発現させてその開口制御を電気生理学的に単チャネル解析を行った。この際にKir6.2は通常単独では細胞膜に発現しないことからKir6.2のC端36アミノ酸を切除したΔC36チャネルでの検討を行った。 Kir6.2のチャネルポアを構成するI167の部位に変異を挿入し、チャネル開口確率を上昇させたKir6.2チャネル(Kir6.2-I167L)を作成し、電気生理学的に開口確率が上昇していることを確認した。 さらにこのKir6.2-I167Lチャネルに対して報告された3次元立体構造から推測されるPIP2の結合部位にも各種変異を挿入し、二重に変異を有するKir6.2チャネルを作成し、電気生理学的特性をパッチクランプ法にて検討を行った。 その結果、PIP2結合部位に変異を挿入するとI167L単独で上昇した開口確率が低下することが確認された。この結果はPIP2がKir6.2のチャネルポアに対して作用してその開閉機序を制御している可能性を示していると考えらえた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点でPIP2結合部位における変異がチャネルポアに作用してその開閉を制御していることが明らかとなった。PIP2がいかにチャネル全体の開閉を制御しているかはについての新たな知見であり、本研究の目標の基盤となる結果を得ることができたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究として今まで検討した変異型のKir6.2チャネルを用いて実際にPIP2を添加した際のチャネルの開口変化をパッチクランプ法を用いて電気生理学的に検討を行う。 さらにこれらの変異型チャネルをベータ細胞株に発現させ、ヘテロの状態となるがインスリン分泌にどのような変化を与えるか、batch incubationならびにperifusion法での検討を行う。 また計画に基づき、各種ホルモン、ペプチド、薬剤によるPIP2を介したインスリン分泌制御を可能にする方法について検討を行う。
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