研究実績の概要 |
lean-NAFLDのゲノムワイド関連解析GWASによって関連を見出したChr13の関連領域と、周辺遺伝子との3次元的機能的協調をchromosome conformation capture assayにて明らかにし、このゲノム領域が、AAV8スクリーニングによって明らかになった機能性遺伝子候補を含む周辺遺伝子の発現制御を行っている可能性を明らかにした。Chr13 lead SNP近傍の、GPC6, DCT, TGDS, GPR180 遺伝子をshRNAによってマウス肝臓でノックダウンした結果、GPR180遺伝子がこの領域における機能遺伝子の可能性が示唆された。さらに、また、Gpr180KOマウスを樹立し、このマウスは体重の有意な変化なしに、高脂肪食による脂肪肝に抵抗性を示すこと、糖代謝には影響することなく、血中脂質レベルを低下させること、Gpr180の欠失はmTORC1のシグナルを軽減させ、このシグナルで制御されるSREBP1, 2の不活性化による脂肪酸合成やコレステロール合成低下が脂肪肝と血中脂質レベルの低下をもたらしたことを明らかにし、論文を公表した。GPR180の褐色脂肪細胞におけるナチュラルリガンドとしてCTHRC1の可能性が高いことが明らかにされた(Nature Communications (2021)12:7144)が、肝臓での働きは明らかにされていない。また、この論文と本研究でのGpr180KOマウスの表現型には違いがあり、今後、更なる検討が必要である。 また、東京大学とのモンゴル人ゲノムを用いたゲノムワイドメチル化解析と、女子栄養大学との脂肪酸不飽和化酵素遺伝子多型に関する共同研究を論文として公表した。
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