研究課題
骨量は骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収のバランスにより調節され、そのバランスはホルモンなどの細胞外の要因に強い影響を受ける。細胞外のプロトン(H+)により活性化されるGタンパク質共役型受容体OGR1/GPR68は骨芽細胞と破骨細胞にも発現していることから、OGR1は低pH環境を感知するセンサーとして骨代謝を調節していると考えられる。OGR1/GPR68は細胞外のプロトンにより活性化される受容体で、比較的中性に近い弱酸性状態(pH 6-8での変化)を感知する。このことより、生理的、病理的なpH変化に応答していると考えられるが、局所でのpHへの応答を調べることは技術的には難しい。このため、受容体発見当初より破骨細胞と骨芽細胞でOGR1の発現が示されていたにもかかわらず、OGR1を介して低pHを感知し個体の骨代謝が変化することを明らかにした論文はない。マウスを用いた研究では、アシドーシスを誘導した時にアシドーシスがOGR1を介して骨密度骨代謝へ与える影響を調べた。サカナ組織解析では、細胞老化により前がん状態となった細胞に追加の変異が入ると細胞塊が形成され、そこにはSASP (Senescence-associated secretory phenotype)によって誘導された単球などが浸潤していることを明らかにした。また、魚類のウロコには破骨細胞と骨芽細胞が並んでいることに着目し、新たな器官培養システムとしてウロコを破骨細胞のマーカーである酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)で、骨芽細胞はアルカリホスファターゼ(ALP)により染色した。小型魚類からの採血法の確立により実際にサカナの組織および血漿サンプルを用いてステロイドホルモンの測定を行った。
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Science Advances
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