研究課題
三大栄養素である炭水化物、タンパク質、脂質の組成を変えた食餌をマウスに投与し、耐糖能や腸内細菌叢に及ぼす影響、組織学的変化を検討した。最も顕著な糖代謝異常を呈するのはω6不飽和脂肪酸リッチな食餌であり、無菌マウスでの検討や腸内細菌移植により、この栄養素によって構築される腸内細菌叢が糖代謝を悪化させることを見出した。腸内細菌依存的な血中脂質の変化を抽出する目的で、有菌および無菌マウスにそれぞれの食餌を投与し、血中網羅的リピドミクス解析により600種以上の脂質を検出した。ω6不飽和脂肪酸リッチな食餌では、腸内細菌存在下でみられる血中脂質プロファイルに及ぼす影響が最大であった。栄養素の組成は個体のインスリン抵抗性を決定づける重要な要素であるが、その背景に腸内細菌叢依存的な血中の脂質組成のダイナミックな変化があることを示した(iScience 2021)。他にも食品成分などが腸内細菌叢の変化を介して糖代謝を改善する作用があることを見出し報告した(Biosci Microbiota Food Health 2020, Nutr Food Res 2022)。さらに最近では、ポリフェノールの一種が脂質の吸収や腸管のバリア機能を調節して高脂肪食負荷マウスにおいて抗肥満作用、インスリン抵抗性改善作用を示すことを見出し、現在論文化に向けて準備している。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の予定より、様々な食品成分などについて、ノトバイオート実験を行い腸内細菌叢が代謝に及ぼす影響の検討を進めることができているため。
現在進行中のポリフェノールの一種を用いた研究を論文化する。
2022年1月から3月までの動物実験施設使用料などは請求が2022年4月以降となるためその支払いに充てる必要があったため。また、2021年度に予定していたノトバイオート実験用の無菌マウスの繁殖が食殺などで遅れたため、2022年度にずれ込んだため。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 4件)
Mol Nutr Food Res .
巻: - ページ: e2101119.
10.1002/mnfr.202101119.
Nutrients
巻: 13 ページ: 4374
10.3390/nu13124374.
iScience
巻: 24 ページ: 102445
10.1016/j.isci.2021.102445.