研究課題
コーンスターチ、フルクトース、分岐鎖アミノ酸、ω6不飽和脂肪酸リッチな大豆油、飽和脂肪酸リッチなラードをそれぞれ高濃度に含む食餌をマウスに投与し、腸内細菌移植実験などを通してω6不飽和脂肪酸リッチな食事によって確立される腸内細菌叢が、最も糖代謝異常を悪化させることを見出した。そのメカニズムを明らかにするために、ぞれぞれの食事を投与した無菌マウスと有菌マウスでの血清リピドミクス解析を行い、ω6不飽和脂肪酸リッチな食事によって構築される腸内細菌は最も血中の脂質を多様化することから、肥満や糖代謝異常の原因となることを報告した(iScience 2021)さらに食品成分Xは、膵リパーゼ活性阻害と腸内細菌叢の変化によって小腸の脂肪酸吸収トランスポーターCD36の発現を低下させ、脂質吸収を抑制して抗肥満作用を示し、腸管バリア機能を高めてインスリン抵抗性を改善することを見出した。その中でもカギとなる腸内細菌A. muciniphilaの増殖をXが直接的に促進することを嫌気培養実験により証明した。最終年度には、A.muciniphilaが代謝に直接及ぼす作用について、無菌マウスにA. muciniphilaのみを移植したマウスの表現型と血清の網羅的メタボローム解析を行った。A.muciniphila単独で、小腸のCD36の発現を低下させて脂肪酸の吸収を抑制し、血中の脂肪酸濃度を低下させるという新たなメカニズムが明らかとなり、現在論文投稿準備中である。本研究を通して、様々な食品成分が腸内細菌叢の変化を介して宿主の脂質プロファイルを精巧に調節し、肥満や糖代謝異常の原因の調節因子となることを示すことができた。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 2件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件)
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