本研究はメトホルミンのキレート作用という化学的特性が、同薬剤の薬理作用の発現に関与するか否かについて明らかにすることを目的とした。 培養肝細胞HepG2細胞を用いて、細胞透過性の銅キレート剤であるテトラチオモリブデン酸アンモニウム(TM)によるAMPKのリン酸化能を検証した結果、0.01 mM, 0.1 mMにおいてメトホルミンと同様にAMPKのリン酸化効果を認めた。さらに、肥満糖尿病モデルマウスKK-Ayに対してTMを4週間飲水投与したところ、血糖改善作用および体重減量作用を示唆する結果が得られた。以上より、メトホルミンによる薬理作用の少なくとも一部は銅キレート作用を介することが推測された。
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