研究課題/領域番号 |
20K08889
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
石井 規夫 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (10599111)
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研究分担者 |
瀬ノ口 隆文 熊本大学, 生命科学研究部, 特任講師 (00530320)
近藤 龍也 熊本大学, 病院, 講師 (70398204)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 胆汁酸トランスポーター / 腸内細菌叢 / 動脈硬化 |
研究実績の概要 |
【実験Ⅰ】IBAT阻害薬投与による糖代謝・脂質代謝の解析(臨床研究の一部として) 上述の臨床研究のElobixibat投与群および対照薬(Lubiprostone)投与群の4週間投与前後の便サンプルで腸内細菌叢の構成を解析(16S rRNA PCR法)し各種臨床データと比較を行っている。 【実験Ⅱ】IBAT阻害薬投与による糖代謝・脂質代謝の解析(基礎研究) C57BL/6J マウスへ高脂肪食負荷により耐糖能異常を誘導しつつIBAT阻害薬(Elobixibat)およびVehcleを経口投与し、以下の解析を行っている。 ・体重、摂餌量、体組成の変化・血液生化学・脂質プロファイル、FGF15/19・GIP・GLP-1など・運動量の測定(質量分析マウス用呼気ガス運動量12 チャンネルシステム)・経腹腔糖負荷試験およびグルコースクランプ試験による耐糖能、インスリン抵抗性の評価・腸内細菌叢解析(16S rRNA PCR法を用いて総菌量, Clostridium cluster XI and XIVa, Bacteroides fragilis,など) ・糞便、血清、肝組織中の胆汁酸分画を解析(HPLC: high performance liquid chromatography))・腸管組織および腸管内分泌細胞(enteroendocrine cells)の単離※によるwestern blotおよび免疫組織染色による解析(FXR、I-BABP、OSTα/β、TGR5の発現量など) IBAT阻害により糖代謝および脂質代謝の改善を示唆する結果が出ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の通り臨床研究と基礎研究を並行して進めており、おおむね仮説を裏付ける結果が出ている。
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今後の研究の推進方策 |
上記実験に加え以下のin vivoの実験を予定。 【実験Ⅲ】腸管上皮細胞特異的IBAT欠損マウスの作成および糖代謝・脂質代謝の解析 Cre-loxP 相同組み替え法によりIBATが欠損するようにターゲティングベクターを構築し、常法に従いキメラマウスを作製する。生まれてきたキメラマウスと腸管上皮細胞特異的に発現する遺伝子villin1 のプロモーター下にCre リコンビナーゼ遺伝子を挿入したトランスジェニックマウスと交配することで腸管上皮細胞特異的IBAT欠損マウスを作製する。この腸管上皮細胞特異的IBAT欠損マウスに高脂肪食負荷を行い【実験Ⅱ】と同様の解析する。 【実験Ⅳ】腸管上皮細胞特異的IBAT欠損マウスのNASH/NAFLDおよび動脈硬化症の評価 腸管上皮細胞特異的IBAT欠損マウス(高脂肪食負荷)の肝組織のTG含有量および鏡顕像によりNASH/NAFLDの進行度を評価する。また同マウスと動脈硬化症モデルマウス(apo Eノックアウトマウス)を交配し、大動脈弁輪部の組織薄切切片及び大動脈全体をenfaceした組織サンプルをOil-red O染色し粥状動脈硬化病変のサイズを定量化することで動脈硬化症の程度を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究費としては比較的少額のため使用困難であった。次年度へ繰り越し消耗品などへ充てる予定で計画している。
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