研究実績の概要 |
本年度までに実験1として食事誘発性肥満がグルコーススパイクによる血管内皮障害を増悪する機序を明らかにする検討、および,実験2としてグルコーススパイクによる血管内皮障害に対するバルドキソロンメチル(Nrf2活性化剤)の効果の検討を行なった。高血糖環境下のチャンバーでの動脈内皮機能の検討では、肥満グルコーススパイク(+)群は非肥満グルコーススパイク(+)群および肥満グルコーススパイク(-)群に比し内皮依存性血管弛緩反応の低下を認めた(p < 0.001)。肥満グルコーススパイク(+)群の内皮障害はSOD,カタラーゼおよびアポシニン(NOX阻害薬)で改善した。遺伝子発現解析では肥満群は非肥満群に比しSod2発現の低下を認め,さらに肥満グルコーススパイク(+)群では非肥満グルコーススパイク(+)群および肥満グルコーススパイク(-)群に比しNox2, p47phoxの発現増加およびCatの発現低下を認めた(p < 0.001)。DHE染色では肥満グルコーススパイク(+)群で有意に蛍光強度の増加を認めた(p < 0.001)。実験2) ビークル-肥満グルコーススパイク(+)群のNox2, p47phox発現増加およびSod2, Catの発現低下は何れもバルドキソロンメチル-肥満グルコーススパイク(+)群では認められなかった。同様にDHE染色の蛍光強度および尿中8-OHdGとも増加は認められず,内皮機能の悪化も認められなかった。実験1および2で用いた肥満グルコーススパイク(+)群の内皮機能は血清遊離脂肪酸(FFA)と負の相関を認めた(n = 11; r = -0.72, p = 0.012)。
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