研究実績の概要 |
8週齢の雄性Wistarラット28匹を食餌(コントロール食, CD; ウェスタン食, WTD)およびグルコーススパイクの有無(GS (-); GS (+))により4群(1群7匹)に分け、12週間CDあるいはWTDを給餌後,GS (-)群には生理食塩水をGS (+)群にはブドウ糖 (1 g/kg) を1日2回,1週間腹腔内投与した.21週齢で血液サンプルおよび胸部大動脈を採取し,血管内皮機能,遺伝子発現(real time PCR)およびスーパーオキシド産生の評価(DHE染色)を行った.次に8週齢の雄性Wistarラット32匹について,上記の4群において19週齢でVehicleあるいはバロキソロンメチル(CDDO-Me 3mg/kg)を2週間経口投与し,20週齢で生理食塩水あるいはブドウ糖を1日2回投与し同様の検討を行った. WTD群はCD群に比しインスリン感受性の低下を認めた.血管内皮機能についてWTD-GS (+)群においてのみ高グルコース条件において内皮機能(pD2)の低下を認めた.この内皮機能低下は,アポシニン(NOX阻害薬),SOD,カタラーゼ,ミトコンドリアのスーパーオキシドスカベンジャーであるMito-TEMPOの添加で内皮機能が改善した.遺伝子発現解析では,WTD-GS (+)群においてNOX2のmRNA発現の亢進およびSOD2のmRNA発現の低下を認めた.DHE染色の蛍光強度は,WTD-GS (+)群で増加を認めた.pD2は血清遊離脂肪酸濃度と有意な負の相関を認めた(r = -0.768, P = 0.044). Vehicle投与群でWTD-GS (+)群の高グルコース条件で内皮機能の低下を認めたが,CDDO-Me投与群ではWTD-GS (+)群の内皮機能障害を認めず,DHE染色でもVehicle投与群に比し蛍光強度の低下を認めた.
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