研究課題
本研究ではARNOに着目し、その新たな結合候補タンパク質との結合特性や役割を解析することでエンドサイトーシスの開始シグナルの解明を目指す。エンドサイトーシスは、インスリン分泌の量とタイミングを決めるために必須であり、その破綻は2型糖尿病の新たな原因となりうる。しかし、これまでの研究ではインスリンを放出するまでの過程を扱い、その後のステップを扱った研究は皆無である。本研究は、申請者が同定したシグナルを解析することで、開口放出後のエンドサイトーシスシグナルの解明を行う。本年度は、同定したARNO結合タンパク質がインスリン分泌刺激であるグルコースによって活性化されること、活性化されたARNO結合タンパク質が細胞内でその局在を変化させることを明らかにした。本結果は、ARNO結合タンパク質がARNOの上流に位置し、エンドサイトーシスの開始シグナルである可能性を示唆している。本研究では、ARNOに結合するタンパク質をスクリーニングし、同定したタンパク質とARNOの結合が特異的な直接結合であり、かつ細胞内で複合体を形成していることを明らかにした。また、ARNO結合タンパク質がリン脂質の生成を介してARNOの細胞内動態を制御することが明らかになった。さらに、このシグナルがグルコースによって制御されていることを明らかにした。本研究成果は、インスリン分泌機構を理解する上で極めて重要であると共に、GDP型Gタンパク質によるシグナリングという意味からも基礎生物学上重要な知見である。
すべて 2023 2022 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
Biol. Pharm. Bull.
巻: 46 ページ: 630-635
10.1248/bpb.b22-00913
Biochem. Biophys. Res. Commun.
巻: 600 ページ: 136-41
10.1016/j.bbrc.2022.02.054.
Biochem. Biophys. Res. Commun
巻: 637 ページ: 108-16
10.1016/j.bbrc.2022.11.011.
https://w3pharm.u-shizuoka-ken.ac.jp/pharmaco/