研究課題/領域番号 |
20K08895
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
荻原 健 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60399772)
|
研究分担者 |
宮塚 健 順天堂大学, 大学院医学研究科, 客員教授 (60622363)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | α細胞 / トランスクリプトーム解析 / 膵発生 |
研究実績の概要 |
全ての糖尿病患者は膵β細胞の質的・量的異常に基づくβ細胞不全を合併する。このため、β細胞不全の病態解明、あるいはβ細胞再生を目指した研究が古くから行われてきた。 一方、グルカゴン産生細胞である膵α細胞の質的・量的異常もまた糖代謝異常の病態を修飾することが徐々に解明されているものの、α細胞新生、成熟の分子メカニズムに関しては、 ほとんど明らかにされていない。最近、我々は新生α細胞のみを標識できる“Glucagon(Gcg)- Timer”マウスを作製した。本プロジェクトでは同マウスを用いて新生α細胞を顕微鏡下で観察し、フローサイトメトリーで新生α細胞を定量化するとともに、トランスクリプトーム解析を行うことにより、「α細胞がいつ、どこで生まれ、どのようにして成熟α細胞へと分化していくのか?」を1細胞レベルで解析する。 Gcg-Timerマウスより膵臓を摘出し、共焦点レーザー顕微鏡およびFlow cytometryで新生α細胞(=緑色蛍光細胞)を観察・定量化した結果、α細胞新生が胎生期から生後早期(5日)までに生じ、1週齢以降は生じないことが明らかとなった。また、Gcg-Timerマウス胎生膵を摘出し、新生α細胞、成熟α細胞(=緑色・赤色蛍光細胞)をFACSで単離し、RNA-sequencingを施行しGene Ontology解析を行った結果、新生α細胞群には血管新生に関する遺伝子群が高発現していた。Gcg-Timerマウス胎生膵を摘出し、膵管・血管を染色し顕微鏡で観察したところ、新生α細胞は膵管あるいは血管のいずれかに近接して存在することが明らかとなり、α細胞新生は膵管・血管周囲のnicheで起こることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで新生α細胞の定量化、位置情報の解析、トランスクリプトーム解析による遺伝発現パターンの解析まで施行できている。
|
今後の研究の推進方策 |
single-cell RNA sequencingの解析をさらに進めることにより、新生α細胞間のheterogeneityを明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品購入により生じた残額285円で購入可能な物品がなかったため。
|