研究課題/領域番号 |
20K08897
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
下田 将司 川崎医科大学, 医学部, 講師 (60388957)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | SGLT2阻害薬 / 糖代謝 |
研究実績の概要 |
Sodium glucose co-transporter 2(SGLT2)阻害薬は、尿糖排泄を促進し血糖を改善するとともに体重を減少させる糖尿病治療薬である。申請者は、これまでにエネルギー恒常性維持の観点から、『SGLT2 阻害薬慢性投与時の腎・消化管連関の有無』について糖尿病モデルマウスを用いて検討し、薬剤による尿糖排泄増加が十二指腸から下部小腸におけるグルコース輸送担体遺伝子およびインクレチン関連遺伝子の発現を増加させ、グルコース吸収およびインクレチン分泌を促進させていることを見出した。作業仮説は、血糖低下と独立して臓器連関が生じていると考えているが、血糖低下の影響を排除するには、正常血糖モデルマウスでも同様の現象を確認する必要があり、その検討を行った。正常血糖モデルdb/mマウスをLuseogliflozin(Luse)群およびControl(Cont)群に群別し2週間の介入期間中、体重や空腹時血糖値の推移に有意差はなかった。介入終了後にovernightで絶食とし、実験当日は薬剤投与を行わず消化管には薬剤が存在しない状況を作成した。その状況下にて2-deoxy-d-glucose(2-DG)経口投与を行い、十二指腸、小腸上部、小腸中部、小腸下部を切除し各部位の2-DG uptakeを測定したところ、Luse群で十二指腸、小腸各部位の2-DG取り込みが亢進していた。さらに、消化管糖輸送に関わるSglt1、Glut2やインクレチン関連のGip、Proglucagon mRNAについてもLuse群で十二指腸、小腸各部位の発現が増加していた。現在、血糖低下と独立した臓器連関について検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作業仮説は、『血糖低下と独立して臓器連関が生じている』であったが、その可能性が示唆され、すでにその機序を解明する研究に入ることができている。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ順調に進んでおり、このまま2021年度の計画を推し進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内発注の納品が4月となったため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額はすでに執行済である。
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