研究課題
多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1型)での標的内分泌組織(下垂体、副甲状腺、膵内分泌腺)腫瘍化における、MEN1遺伝子両alleleの欠失、すなわちMEN1遺伝子ヘテロ接合性の欠失(loss of heterozygosity:LOH)の機構解明のため、令和3年度までに、1)MEN1型モデルマウス:Men1ヘテロ欠損マウス(Men1+/-)から腫瘍発症前段階である5月齢、8月齢のマウスから単離した膵島細胞を用いてのcDNAマイクロアレイ解析、2)MEN1遺伝子の転写産物menin及び、meninの共役蛋白である転写因子JunDへの抗体を用いた、膵内分泌腫瘍細胞株における免疫沈降法を用いてのmenin, JunDへの結合蛋白質群の同定、などを試行してきた。令和4年度は、3)MEN1型と診断された患者のうち、膵内分泌腫瘍、副甲状腺腫瘍について外科的切除術を施行された症例のホルマリン固定標本から、未染色切片の作製とmeninおよび各種ホルモンの免疫染色、MIB-1 indexの計測を試行した。また胚細胞MEN1遺伝子に病的変異を有する群と、胚細胞病的変異を認めない群からそれぞれ5例ずつ、副甲状腺腫瘍組織からTotal RNAを抽出し、RNA sequencing解析を施行した。私達は既に10-12月齢のMen1+/-より単離した膵島細胞を用いたcDNAマイクロアレイ解析を実施していたが、5月齢および8月齢のMen1+/-での変動遺伝子群と10-12月齢のマウスとの結果は相違しており、マウスMen1遺伝子のLOHによって生じた腫瘍内における遺伝子プロファイルが明らかとなった。また、ヒトMEN1型に発症した副甲状腺腫瘍、膵内分泌腫瘍ではmeninの染色性は一様でないことが判明し、ヒト副甲状腺腫瘍における、MEN1遺伝子LOHによる遺伝子プロファイルの特徴が明らかとなった。
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Thyroid
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