これまでMEN1型の腫瘍発症機構の研究としては、癌抑制遺伝子の機能破綻後の、すなわちLOHが生じた後の腫瘍組織を用いてMEN1の機能不全が腫瘍増殖に及ぼす影響について論ぜられた研究が主であったが、今回、私達は、MEN1型におけるLOH発症前の標的内分泌腺における遺伝子変動に着目して研究を遂行した。今後研究を発展させることでp53遺伝子、Rb遺伝子、APC遺伝子など他の癌抑制遺伝子にも共通するLOHの機構の解明につながる可能性がある。また、膵内分泌腫瘍化に関わる新規因子群や経路の詳細が解明されれば、膵内分泌腫瘍の診断、治療における新たな分子マーカーや、創薬のターゲットとなることが期待される。
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