研究課題/領域番号 |
20K08902
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
金 然正 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任助教 (00345266)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 開口放出 / アディポカイン / ELKS |
研究実績の概要 |
本研究では、開口放出制御因子ELKSの脂肪細胞選択的欠損マウスの解析と、アディポカイン放出におけるELKS複合体の解析を進めることで、生体恒常性維持におけるアディポカイン分泌調節機構の役割を解明する。先ず、作出した脂肪組織選択的ELKS欠損マウスの脂肪組織のウェスタンブロットにより、ELKSの脂肪細胞選択的な脱落を確認した。エネルギー代謝恒常性における開口放出制御因子ELKSの生理機能を明らかにするためにELKS遺伝子の脂肪細胞選択的欠損マウスを作出し体重の変動を測定した。代謝表現型の解析のため、普通食と高脂肪食を与え体重の変動を比較解析した。普通食の飼育条件において、脂肪細胞選択的ELKS欠損マウスの成長に伴う体重変動は野生型マウスに比べ有意な差を示さなかった。しかし、高脂肪食の飼育条件において、欠損マウスの体重は野生型より著しく増加した。また、肥満に伴う非アルコール性脂肪肝において、欠損マウスが有意に高い発現率を示した。このことはELKS機能の一端が脂肪細胞の代謝調節に関わることを示唆する。現在、脂質動態に影響し得る摂食量、自発的活動量などの行動解析を進めている。 一方、分子メカニズムの解明のために、近位依存性ビオチン標識法を用いる予定であり、adeno-associated virusのビオチンリガーゼに連結したELKSの発現ベクターを構築し、培養細胞での発現およびビオチン標識能を確認した。今後、脂肪細胞への導入方法を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高脂肪食の投与による脂肪細胞ELKS欠損マウスの体重が野生型マウスより増加したことと、非アルコール性脂肪肝の発生が亢進した結果を得ており、今後推進する研究の方向性が確立された。分子メカニズムの究明に関しては、マウス個体での条件検討までは進まなかったが、基盤となる研究材料が揃ったことで、概ね順調に進んでいると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
脂肪由来のアディポカインなどの分泌性成分に関してはアディポカインアレイを使用する計画である。脂肪細胞選択的ELKSの欠損で脂肪肝の発症が高まったことからadiponectinとlectinの血中濃度および脂肪細胞からの分泌量を測定する。どのようなシグナルが分泌の引き金になっているかを究明するため、脂肪細胞の培養系を樹立する。近位依存性ビオチン標識に関してはAAV8セロタイプによる脂肪細胞への感染系を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスの繁殖が予想より進まなかったこともあり、血中ホルモン濃度の測定時期の決定がおくれ、そこにかかる経費が余ってしまったため。 差額分に関しては今年度にアディポカインの血中濃度測定に使う予定である。
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