研究課題
今年度は新たに患者をエントリーし入院下でプロトコールに従って副腎不全患者のステロイド補充前後の血液サンプルを採取した。血液サンプルからRNAを抽出しRNAseqを施行し、ステロイド充足前後での発現パターンの変化を検討し、複数のバイオマーカー候補を得た。また本学の質量分析センターとの共同研究により血清のメタボローム解析を行い、複数のアミノ酸がステロイド補充前後で有意に変化していることが明らかとなった。また同様に血清から超遠心法を用いてエクソソームを抽出した。エクソソームの確認としてナノサイトによる粒計測、ウエスタンブロット法によるエクソソーム表面抗原を複数確認し、抽出したRNAをバイオアナライザーにて解析したところ純度の高いRNAが抽出されていることを確認した。昨年度よりマウス血清からエクソソーム抽出を行っていたが、同定には至らなかった。今年度、超遠心のプロトコールを修正し、抗体の種類を変えることで表面抗原を確認することに成功した。今後ヒト検体で得られたバイオマーカーの生理的意義を検証するためにマウスを用いた実験も展開する予定である。
3: やや遅れている
昨年度、当科にて凍結保存していたヒト副腎不全症の血液サンプルが経年劣化のため検討可能な量のRNAが抽出ができなかった。従って本年度新たに新規入院患者をリクルートしたが、新型コロナ感染症によるパンデミックの影響で入院制限などがあり、解析に十分な患者数を確保するのにやや時間を要した。
現時点で、候補となるバイオマーカーとして、・全血由来RNAを用いたRNAseqから得られたmRNAおよびlncRNA・血清由来のメタボローム解析により抽出したアミノ酸に加えて、今後血清エクソソームから抽出したRNAを用いてmicroRNASeqを施行し、副腎不全に特異的なバイオマーカーとなりうるmicroRNA候補を抽出する。また候補となったバイオマーカーの診断における感度・特異度を算出し、臨床的有用性を検討する。加えてそれら候補の標的となる組織やその作用についても検討を予定している。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (37件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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