研究課題
肝臓や腸管から分泌される抗菌ペプチドliver-expressed antimicrobial peptide 2 (LEAP2)が、グレリン受容体の内因性アンタゴニストで、グレリンの成長ホルモン分泌と摂食亢進作用を抑制することが報告された。本申請では、グレリンとLEAP2が肝臓で糖脂質代謝を調節する分子機序を解析し、ヒト糖尿病や肥満症、NAFLDでLEAP2を測定し病態との関連を明らかにしていく。髄液中のヒトLEAP-2の存在を世界で初めて同定した。LEAP-2濃度は、細菌性髄膜炎の患者の髄液中で有意に増加していた。細菌性髄膜炎において、LEAP-2は局所性に産生され、潜在的なバイオマーカーとして有用である可能性が考えられた。血中と髄液中のLEAP2濃度は異なる動態を示すことから、LEAP2は脳内でも産生されることが示唆された。カロリー制限したマウスへのLEAP2投与は、炎症を惹起しより体重減少を生じた。グレリン受容体欠損マウスでもLEAP2が同様の効果を示すため、カロリー制限下においては、グレリン受容体を介さない作用を示すと考えられた。2型糖尿病患者を対象に、LEAP2と代謝関連因子の関係を解析した。空腹時血中LEAP2は、体重、ウエスト周囲径、HOMA-R、血中中性脂肪濃度等の指標と正の相関を示した。高度肥満症の39例(糖尿病26例を含む)をスリーブ状胃切除術前と12ヶ月後で解析した。術前血中LEAP2は、ROC解析によりカットオフ値2.88 pmol/mL、感度80.0%、特異度75.9%で術後の体重減少を予測した。2型糖尿病の寛解は、カットオフ値4.25 pmol/mL、感度85.7%、特異度66.7%で予測できた。血中LEAP2は、減量代謝改善手術の予後予測因子としての有用性が示唆された。
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Obesity Facts
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10.1159/000530733.