研究課題/領域番号 |
20K08924
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
井上 幹大 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (30422835)
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研究分担者 |
小池 勇樹 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (10555551)
内田 恵一 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (30293781)
松下 航平 三重大学, 医学系研究科, 助教 (70750777)
溝口 明 三重大学, 医学系研究科, 産学官連携講座教授 (90181916)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 胆道閉鎖症 / 二光子レーザー顕微鏡 / クルクミン / 生体蛍光観察 |
研究実績の概要 |
胆道閉鎖症における肝門部微小胆管の二光子レーザー顕微鏡による観察研究を行うにあたり、まず当施設における倫理審査委員会で研究の申請認可を得た。当研究は、「クルクミンによる生体組織染色法+二光子レーザー顕微鏡による生体観察法」を組み合わせることにより、胆道閉鎖症患児の術中において、Dynamic pathologyによる術中診断(微小胆管の単位面積当たりの数やその胆管径の確認)を行うことで、至適切除ライン(さらに肝表面側に胆管を切り込むべきかどうかの判断)の同定を行い、術後減黄率の向上とそれに伴う患児の予後改善を主たる目的としている。 これまでに2例の胆道閉鎖症患児における胆管切除部の肝臓側の断端を二光子レーザー顕微鏡で観察を行った。具体的には観察面を水平にし、断端面に10%クルクミンを散布し、5分後より同顕微鏡で観察を行った。これにより肝門部微小胆管の観察が可能であった。また観察においては3Dスキャンを行うことにより、肝門部微小胆管における胆管径だけでなく、その走行に関しても精細なイメージ獲得が2例ともに可能であった。 さらに、その後、切除標本の永久組織病理診断においても、H&E染色において同等の結果が得られており、当研究における新規生体蛍光染色による観察手法は臨床的にも十分に応用可能であることが示唆された。 今後は症例数を蓄積し、それぞれの症例における画像を永久病理標本におけるH&E染色と比較検討することで、この新規生体蛍光観察手法の整合性を確認していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに2例の胆道閉鎖症例における切除標本を用いた観察を行っているが、その2例とも観察可能性とH&Eとの比較検討により、その正確性が確認されており、研究は概ね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
対象となる胆道閉鎖症は希少疾患であるため、この新規生体蛍光観察手法における診断能や正診率に関しては、今後も症例を蓄積して比較検討を継続していく必要があると考えている。さらに症例を蓄積していき、その優位性が証明されれば、いよいよ術中における生態観察へと移行していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
クルクミンの薬剤購入費や顕微鏡のメンテナンス費において、当初の計画より少なく済んだため、次年度使用額が生じた。 使用計画としては、今後もクルクミンの薬剤購入費や顕微鏡観察時に使用するプレパラートなどの消耗品、画像解析ソフトが必要となるため、これらを購入する予定である。
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