研究課題
2002年1月1日から2019年7月31日までの間に京都大学医学部附属病院で生体肺移植が施行された患者とそのドナー257名(レシピエント89名、ドナー168名)を対象とした。DNA純度不適(A260/280比<1.7)やカルテ情報の不備、検体量不足などで85例を除外し、172例で末梢血テロメア長の測定を行う予定である。現在までにドナー116例の末梢血テロメア長解析を終了している。観察期間中、CLADの発症は11例であった。CLADを認めた症例の肺移植の術式は、両肺8例、片肺3例であった。CLADの発症は両肺で認めた症例が1例で、他は片肺の発症であった。テロメア長の測定は、qPCRを用いて行った。ドナーテロメア長と年齢には弱い負の相関関係が認められた(n=116, r=-0.222, P値<0.05)。また、男性(n=66)は女性(n=50)と比較してテロメア長が長かった(P値<0.0001Mann-Whitney U test)。DNAの保存期間とテロメア長に相関は認めなかった。左右のCLADは別々に評価し、それぞれのドナーの末梢血テロメア長とCLADの関連について検討した。T/S ratioとCLAD(P=0.195, Mann-Whitney U test)、T/S percentileとCLAD(P=0.325, Mann-Whitney U test)のいずれも有意な関連を認めなかった。
2: おおむね順調に進展している
保存DNA検体を用いたドナーのテロメア長の測定と臨床情報の収集、慢性拒絶の評価を完了しており、概ね予定通りの進捗と考えている。
過去検体を用いた検討ではドナーの末梢血テロメア長と慢性拒絶の間に有意な関連は認めなかった。さらに症例を蓄積し、フォローアップ期間を延長して検討を行っていく。CLADとの関連が予想される遺伝子変異(多型)とCLADの関連についても検討を加えていく予定である。
COVID-19のために旅費を使用しなかった。また、テロメア長の測定にかかる試薬の費用が予定を下回り、遺伝子多型とCLADの関係の検討が行えていなかったため。次年度には遺伝子多型とCLADの関係について検討を予定しており、そのための試薬購入を予定している。
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The Annals of Thoracic Surgery
巻: 未定 ページ: 未定
10.1016/j.athoracsur.2021.02.088
Surgery Today
10.1007/s00595-021-02232-6