研究課題/領域番号 |
20K08934
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
向井 基 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (80468024)
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研究分担者 |
家入 里志 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (00363359)
大西 峻 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任助教 (10614638)
矢野 圭輔 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (30757919)
加治 建 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任教授 (50315420)
春松 敏夫 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任助教 (70614642)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | IFALD / 短腸症候群 / オートファジー / Rubicon |
研究実績の概要 |
小児外科疾患である多発小腸閉鎖や中腸軸捻転、壊死性腸炎等により大量小腸切除を余儀なくされた短腸症候群患児らは、長期絶食下での完全静脈栄養(TPN)による術後管理を余儀なくされる。TPN管理下におかれた患児では腸管不全関連肝障害(IFALD)を高率に発症し、その管理が予後を左右することになるが、IFALDの発症のメカニズムに関しては全体像とその詳細が明らかになっていない。近年非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)においてオートファジーを抑制するRubiconがその発生機序に関係していることが報告され、新規治療法のターゲットとして注目されている。本研究では短腸症候群モデルラットを用いて、短腸症候群・長期絶食におけるIFALDの発症機序を明らかにするとともに、Rubiconのオートファジー制御に基づいたIFALDのメカニズム解明と克服的治療法を開発することを目的とする。 本年はIFALDモデルラットの作成および病理組織学的・生理学的検討を行った。雄性の7週齢SDラットに、CVC留置と大量腸管切除を施行し、モデルラットを作成した。7日間~14日間の絶食TPN管理で、IFALDを発症する傾向がみられたが、14日間の絶食TPN管理中に、肝不全様の所見で死亡するラットや、カテーテルトラブルによってTPNを中止せざるを得ないラットが多く見られた。 絶食TPN期間の再検討が必要であったため、絶食TPN管理1週間と2週間で、肝の病理組織学的所見を比較検討した。病理学的にいずれも同等の脂肪沈着や炎症細胞浸潤といった、NAFLD型のIFALDの発症を認めたため、今後は本研究における実験期間を1週間とする方針で、研究を継続していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験手技の習熟に伴って、IFALDモデルラットの作成には至ったが、主にカテーテルトラブルによる合併症により、再現性に乏しい結果が得られた。IFALDはもともと、多角的な要素によって発症すると考えられており、想定し得ない因子を考慮したIFALD発症機序の検討の必要性が出てきた。
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今後の研究の推進方策 |
カテーテルトラブル含む合併症は、機械的なものと、非機械的なものに大別でき、それぞれに対し介入を進めていく。カテーテルの事故抜去や血管外漏出など明らかに機械的なものに対しては、カテーテルの固定方法の改善(カウンターバランスアームの導入など)を行う。急性肝不全やカテーテル感染などの、非機械的な合併症に対しては、起こり得た場合の検体採取を行って原因究明に努める。IFALDは全貌がつかめていないために、合併症によるものと思われている全身状態の悪化も、まだ明らかになっていないIFALDの発症因子のひとつである可能性があるので解析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の遷延により、学会への参加費の際の旅費が不要になったことが要因として考えられる。状況に応じての参加、Webでの情報発信をしていく。
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