研究課題/領域番号 |
20K08937
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
田中 智子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (20822414)
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研究分担者 |
東 真弓 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10380453)
文野 誠久 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40405254)
田尻 達郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80304806)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 神経芽腫 / MEK阻害剤 / MAPK経路 |
研究実績の概要 |
実験計画時には、トラメチニブとの併用薬の候補としてCDK阻害剤を想定していたが、他施設からトラメチニブ投与によるYAPの発現および活性化が神経芽腫におけるトラメチニブ耐性獲得に強く影響しているとの報告があったことから、YAP阻害剤に着目することとした。まずin vitroでYAP阻害剤(X)の単剤での使用効果を確認したところ、NRAS変異神経芽腫細胞株であるSK-N-ASに対して一定の増殖抑制効果を認めた。また、トラメチニブでは確認されなかったアポトーシスも惹起されることが明らかとなった。続いてin vitroで、YAP阻害剤(X)とトラメチニブの短期間の併用効果を確認したところ、強い相乗効果が確認できた。 そこで、SK-N-ASを用いてxenograftマウスを作成し、腫瘍生着後にvehicleのみ、トラメチニブ単剤、YAP阻害剤(X)単剤、トラメチニブ/YAP阻害剤(X)併用、トラメチニブ6週投与後のYAP阻害剤(X)追加の5群に分けて腫瘍サイズおよび生存曲線を追跡した。併用群で有意な抗腫瘍効果が確認されたことに加え、併用期間については、治療開始時期から併用しても、トラメチニブ耐性が獲得されつつあるトラメチニブ投与6週後から併用しても効果に差がないことも確認された。一方、こうした有意な併用効果をもってしても、最終的には腫瘍が再増大することも確認された。 今後は、上述のように、トラメチニブとYAP阻害剤(X)の相乗効果が確認できたことから、次のステップとして適切な治療プロトコルを考えるため、現在に実臨床における治療プロトコルにより近いかたちでトラメチニブとYAP阻害剤(X)を併用実験を行う。 具体的には、神経芽腫術後局所微小残存病変を模したL-MRDモデルを作成し、トラメチニブ単剤とトラメチニブ/YAP阻害剤(X)の併用効果を確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、トラメチニブとの併用薬としてはCDK阻害剤を想定していたが、他施設からトラメチニブ投与によるYAPの発現および活性化が神経芽腫におけるトラメチニブ耐性獲得に強く影響しているとの報告があったことから、YAP阻害剤に着目することとした。まずin vitroでYAP阻害剤(X)の単剤での使用効果を確認したところ、NRAS変異神経芽腫細胞株であるSK-N-ASに対して単剤でも一定の増殖抑制効果を認めた。また、CA3で治療した細胞株を使用してフローサイトメトリーを行うと、トラメチニブでは確認されなかったアポトーシスも惹起されることが明らかとなった。続いてin vitroで、YAP阻害剤(X)とトラメチニブの短期間の併用効果を確認したところ、強い相乗効果を有することが確認できた。 そこで、トラメチニブ耐性獲得時の併用薬剤としてのin vivoでの有用性についてもさらに検討をすすめた。まず、SK-N-ASを用いてxenograftマウスを作成し、腫瘍生着後にvehicleのみ、トラメチニブ単剤、YAP阻害剤(X)単剤、トラメチニブ/YAP阻害剤(X)併用、トラメチニブ6週投与後のYAP阻害剤(X)追加の5群に分けて10週間にわたって腫瘍サイズおよび生存曲線を追跡した。併用群で有意な抗腫瘍効果が確認されたことに加え、併用期間については、治療開始時期から併用しても、トラメチニブ耐性が獲得されつつあるトラメチニブ投与6週後から併用しても効果に差がないことも確認された。一方、こうした有意な併用効果をもってしても、最終的には腫瘍が再増大することも確認された。現在、ここまでの研究成果で論文化の準備をすすめている。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように、トラメチニブとYAP阻害剤(X)の相乗効果が確認できたことから、次のステップとして適切な治療プロトコルを考えるため、現在に実臨床における治療プロトコルにより近いかたちでトラメチニブとYAP阻害剤(X)を併用する。 具体的には、神経芽腫術後局所微小残存病変を模したL-MRDモデルを作成し、これとシャム手術群でそれぞれトラメチニブ単剤とトラメチニブ/YAP阻害剤(X)の併用効果を確認する。また、これまでの研究成果から、YAP阻害剤(X)を併用しても、最終的には腫瘍が再増大していることから、YAP阻害剤(X)併用下での耐性獲得メカニズムについても検討する必要があり、薬剤投与開始から腫瘍再増大までの異なるスポットでの腫瘍片を採取し、ウェスタンブロット、PCR等にて腫瘍がどの経路に依存して再増大しているのかについてもさらに解析をすすめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は、現在の実臨床における神経芽腫治療プロトコルに近づけた微小残存病変モデルを作成してトラメチニブとYAP阻害剤(X)の適切な併用タイミングを確認する。このため、マウス購入費および飼育費に加え、投与薬剤の購入費が必要となる。 また、投与後の腫瘍については犠牲死後に採取して、pERKやYAPなどについてウェスタンブロットやPCRを行うためこれらについても試薬購入費が必要となる。
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