研究課題
【研究目的】癌患者は、術後の残存臓器に新たな腫瘍性病変を高率に生じます。その機序は明らかではありませんが、発癌の母地「field cancerization」の関与が考えられます。この領域には、さまざまな遺伝子の異常が報告されていますが、我々はメチル化修飾に注目してきました。正常な染色体分配にはセントロメア領域のメチル化が必須で、そこから転写されるnon-cording RNAであるSatelliteαtranscript (SatA)により染色体の均等分配が司られます。我々はセントロメア領域のメチル化異常によりSatAが過剰発現し、特定の染色体に数的異常が生じる事を明らかにしました。この変化は癌部のみならず癌の背景粘膜でも認められ、特に多発癌の背景粘膜で高値を示すことから、SatAは多発癌の「field cancerization」に関わると考えています。昨今の縮小手術の普及は異時性発癌のリスクを助長すると懸念され、その機序の解明は喫緊の課題です。SatAが関わる多発癌発生の機序を明らかにします。【研究実績】マウスMajar SatA(mSatA)配列を搭載したレンチウイルスベクターを作成し、マウスの乳癌発生モデルを用いました。乳癌発生を促進するためDMBAを経口投与し、マウス生体の乳管内にレンチウイルスを投与したところ、観察期間内では介入群および対象群とも肉眼的には乳癌の発生は見られませんでした。そこで、マウスmSatA配列を搭載したレンチウイルスベクターでの検討を中止して、レトロウイルスベクターを作製しました。現在、このレンチウイルスベクターを用いてin vitroでの検証を行い、vivoへの検討に進めます。
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