研究課題/領域番号 |
20K08943
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
上田 しのぶ 東京医科大学, 医学部, 助手 (00521874)
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研究分担者 |
高梨 正勝 東京医科大学, 医学部, 講師 (80312007)
須藤 カツ子 東京医科大学, 医学部, 兼任講師 (50126091)
黒田 雅彦 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (80251304)
土田 明彦 東京医科大学, 医学部, 兼任教授 (50207396)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | がん幹細胞 / 外膜小胞 / 核酸デリバリー |
研究実績の概要 |
再発や転移の原因は、化学療法などにより残存したがん幹細胞が全身の臓器に休眠状態で潜伏することによる。我々はがん幹細胞の維持を抑制するmicroRNA(miR-27a)を見出したが、現在の核酸デリバリー法ではがん幹細胞への特異性は低く、その効果も少ない。近年、細菌が放出する外膜小胞 (outer membrane vesicles, OMV)ががんを縮小したという報告が注目されている。本研究ではがん幹細胞に特異的に結合する分子を膜上に発現させ、がん幹細胞の維持を破綻するmiRNAを内包させた人工型OMVを作製する。この人工型OMVを血中に投与することで、全身に散在しているがん幹細胞への特異的なmiRNAのデリバリーが可能となり、がん幹細胞を選択的に死滅することができると考えた。これまでに、がん幹細胞を模倣するmammosphere細胞に、Transmembrane protein59 (TMEM59)が高発現していることを見出した。前年度の目標はTMEM59と結合しうると考えられる蛋白質Xの過剰発現細胞株の作製を行うことであった。しかしながら、蛋白質Xを安定的に過剰発現する細胞株は得ることができなかった。今年度は、蛋白質Xの細胞外ドメインの一部を過剰発現させる方法を試みた。蛋白質Xの細胞外ドメインを高発現させたHEK293細胞へmiR-27aを導入し、培養上清よりexosomeを精製した。この人工型exosomeをmammosphere細胞培養液に加え、さらにパクリタキセルを加えると、コントロールexosomeを加えた時と比較してmammosphere細胞の生存を抑制した。以上の結果より蛋白質Xの細胞外ドメインをexosome膜上に発現させることによって効率よくmiRNAをmammosphere細胞へデリバリーすることができたと考える。
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