現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RIG-Iは、多くの癌腫で予後良好因子とされているが、乳癌においては、RIG-I蛋白質の高い免疫反応性は予後悪化と関連があることを示した。また、RIG-I蛋白質の高い免疫反応性は、同じく予後悪化因子であるTRIM25の免疫反応性と正に相関し、これらの2種の分子は自然免疫だけではなく乳癌細胞の中においても協調して作用していることが推測され、論文発表を行った(Sato J, Azuma K, et al. Clin Breast Cancer 2020, doi: 10.1016/j.clbc.2020.12.001.)。また、乳癌細胞株においてNF-kBシグナルを活性化することを見出していたTRIM44に関して臨床サンプルを用いて検討した。TRIM44および、NF-kBシグナルの下流因子であるtumor necrosis factor alpha-induced protein 3 (TNFAIP3, A20)の免疫反応性を検討したところ、両者の高い免疫反応性は短いdisease-free survivalと関連を認めた。これらの結果より、臨床的な乳がん組織においてもTRIM44によるNF-kBシグナルの活性化が起こっていることが推測され、論文発表を行った(Sato J, Azuma K, et al. Patho Int 71, 60-69, 2021)。
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