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2022 年度 実施状況報告書

癌微小環境由来免疫抑制性エクソソームによる癌免疫逃避機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 20K08947
研究機関独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部)

研究代表者

尾上 隆司  独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (90549809)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード癌微小環境 / エクソソーム / 免疫逃避
研究実績の概要

前年までのB16腫瘍細胞ー血管内皮細胞の連続培養系を用いたin vitroの実験で腫瘍微小環境を模した培養上清から分離したエクソソームがT細胞抑制性を持つことを明らかとした。このエクソソームをビーズを用いたフローサイトメトリーでの解析により、エクソソーム自体がクラスII、CD40などの副刺激分子を表出し、また抑制性リガンドであるPD-L1も表出することが明らかとなった。これらの結果より、腫瘍微小環境から免疫抑制性のエクソソームが分泌されていることが強く示唆された。
次の段階としてOT-I transgenicマウスから分離したOVA特異的CD8+T細胞とOVAパルスした骨髄由来樹状細胞の共培養下に、培養癌細胞由来エクソソーム用いたin vitro増殖抑制試験を行い、in vitroでの検証を行っている。B16メラノーマ腫瘍株をマウスに接種したin vivoマウス担癌モデルにおいて、炎症惹起アジュバントであるCFAを同時に接種し、炎症下における腫瘍の増殖を検討したところ、CFA接種炎症併存群ではコントロール群と比べ、有意に腫瘍増殖が促進され、炎症物質であるHMGB1中和抗体投与により、増殖促進が抑制されたことから、HMGB1と抑制性エクソソームの因果関係が示唆された。そこで、次の段階としてOT-I transgenicマウスから分離したOVA特異的CD8+T細胞とOVAパルスした骨髄由来樹状細胞の共培養下に、培養癌細胞由来エクソソーム用いたin vitro増殖抑制試験を行い、in vitroでの検証を行っている。さらにB16-OVAメラノーマ腫瘍株をマウスに接種したin vivoマウス担癌モデルにおいて、免疫抑制性エクソソーム分泌を促進する可能性のあるHMGB1の中和薬剤を投与し、OT-I細胞を移入し抗原特異的免疫反応の解析を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

引き続いての新型肺炎ウイルス流行により、当病院でも、研究室の入室制限や試薬提供業者の制限、実験補助者の登院制限が行われ、十分に研究実験が行えなかった。またOT-Iマウスブリーディングにおいて、継代しているマウスの繁殖能力が著明に低下したこと、当該飼育領域の感染によりやむなくsacrificeしたが、コロナ禍による遺伝子改変マウス供給の遅滞により、OT-Iマウス使用実験はいったんpendingとなっている。現在、マウスの供給を待ちつつ、in vitroモデルで内皮細胞と癌細胞のクロストーク機構の解析を行っている。

今後の研究の推進方策

マウスを入手次第、in vivoモデルでの血液中エクソソームの分離・解析を再開、抑制性エクソソームのプロファイルを解析する。
さらにin vitroモデルで内皮細胞と癌細胞のクロストーク機構の解析を行う。
新型肺炎による実験の遅延は、コロナが5類感染症となり、現在、通常通りの実験スケジュールに戻り、実験進行は回復している。

次年度使用額が生じた理由

新型肺炎ウイルス流行により、昨年度に引き続き研究室の入室制限や試薬提供業者の制限、実験補助者の登院制限が行われ、十分に研究実験が進まなかった。また、遺伝子改変動物の繁殖が途絶え、再購入も新型肺炎ウイルスによる供給遅延により、引き続く実験が遅れているのが原因である。新型肺炎に関しては5類になったことから、次年度は、本年度で行えなかった実験も併せて行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 腫瘍免疫逃避における腫瘍血管内皮細胞の免疫学的役割2022

    • 著者名/発表者名
      尾上隆司、田口和浩、大段秀樹
    • 雑誌名

      日本免疫治療学会誌

      巻: 10 ページ: 10-18

    • 査読あり

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公開日: 2023-12-25  

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