研究課題/領域番号 |
20K08957
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
森根 裕二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (60398021)
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研究分担者 |
池本 哲也 徳島大学, 病院, 特任教授 (20398019)
居村 暁 徳島大学, 病院, 特任教授 (90380021) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 微小環境 / 腫瘍関連マクロファージ / 癌関連線維芽細胞 |
研究実績の概要 |
本研究では腫瘍微小環境構築のkey regulatorである腫瘍関連マクロファージ(TAM)に着目し、Cancer cell-TAM interactionやTAMを介して誘導される癌関連線維芽細胞(CAF)・免疫逃避機構の機序解明を目的とする。 腫瘍微小環境におけるTAM分化能と機能解析 マクロファージをCancer-CM(conditioned medium)・CAF-CM・TAM-CMで培養し、TAM1 (Ca.)・TAM2 (CAF)・TAM3 (TAM)を作成、TAMマーカー(CD163・CD204)mRNA発現とともにIL-6 mRNA を解析した。さらにCAF1 (Ca.)-CM・CAF2 (TAM)-CM・CAF3 (CAF)-CMによる癌細胞(Huh7)の増殖・浸潤能を確認した。また各種CMのサイトカインアッセイによる機能解析を行った。結果として、TAM1 (Ca.)・TAM2 (CAF)・TAM3 (TAM)のCD163・CD204はTAM1 (Ca.)・TAM2 (CAF)で上昇し、IL-6はTAM3 (TAM)のみで上昇していたことから、TAM自身のTAM誘導能はなく、以降はTAM1 (Ca.)・TAM2 (CAF)で検討した。TAM1 (Ca.)-CM・TAM2 (CAF)-CMはM0マクロファージ-CMより、腫瘍増殖能・浸潤能とも増強し、特に TAM2 (CAF)-CMは他のCMと比較し、PAI-1が増強していた。TiplaxtininによるPAI-1阻害は、TAM2 (CAF)-CMでのみ、腫瘍増殖能・浸潤能を低下した。CAF-CMのみのPAI-1産生性TAM誘導の要因については、CAF-CMでのみでCXCL12が高濃度で、CAF-CMに対するCXCL12抗体追加が、TAM2 (CAF)の特徴的機能であるPAI-1分泌能が低下させることを確認している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記実験系において腫瘍微小環境におけるTAM誘導の可能性とともに、CAFにより誘導されたTAMの機能的特徴について確認できた。特にCAF誘導TAMはPAI-1分泌能が増強しており、微小環境における悪性度獲得機序の一因と考えられる。今後、他のサイトカインの関与や、腫瘍悪性度に対する影響について検討を加えていく予定としている。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、腫瘍微小環境におけるcancer-CAF-TAMそれぞれのの意義について検討を進め、特にTAM-CAF interactionにより、CAFから誘導されたTAMがPAI-1分泌能が上昇するなどの、特異的な機能を有する異が示された。今後は、他にも確認しているサイトカインDkk-1に対する意義も検討するとともに、そこから展開される腫瘍免疫逃避機構(特にTリンパ球に対する効果)や、微小環境内の各種構成細胞間のinteractionについても検討していく予定である。
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