研究課題
われわれは肝内胆管がん(ICC)12例原発性(77例の検体)において症例間多様性を凌駕して普遍的に存在し腫瘍内多様性もないクローナルな治療標的分子または機構について多層オミックス解析(ゲノム/転写産物/蛋白/代謝産物)にて解析した。本研究は、ICCの進化を解明し、ICC特有の代謝特性を明らかにすることを目的とし、腫瘍内および腫瘍間の不均一性を包含する多領域サンプリングによりICC発症に関連する代謝経路を調査する。その結果、症例ごとに異なるドライバー遺伝子を持つICCの腫瘍内多様性は、腫瘍のステージに関わらず、中立進化を示すことが示された。またBCAT1 と BCAT2 の発現量が「BCAA; Val Leu Ile 分解経路」の関与を示唆した。すなわちICCではBCAAがmTORシグナルを介した細胞増殖や浸潤を促進していた。またBCAA活性化環境においてICCはBCAT1およびBCAT2発現によりmTORシグナルを活性化することも示唆された。さらにICC症例におけるBCAA分解経路活性と予後との関連を検討するため、ICC腫瘍103例(ICC137例、ECC74例、胆嚢がん28例)のマッチしたトランスクリプトームデータとコホート生存情報の解析を行った。KEGGで「BCAA分解」に関連する44遺伝子を選択し、各症例についてBCAA分解経路の活性を算出した。そして、スコアが50%未満の症例を「BCAA分解経路活性が低い」、スコアが50%以上の症例を「BCAA分解経路活性が高い」と分類した。BCAA分解経路活性が高いグループと低いグループを比較したところ、BCAA分解経路活性が低いグループは全生存率が低いことを明らかにした。
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