研究課題/領域番号 |
20K08962
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
島 宏彰 札幌医科大学, 医学部, 助教 (00404616)
|
研究分担者 |
竹政 伊知朗 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50379252)
九冨 五郎 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10404625)
里見 蕗乃 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (90563487)
和田 朝香 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (10830151)
鳥越 俊彦 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20301400)
廣橋 良彦 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30516901)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 乳癌 / リンパ節転移 / cytotoxic T cell / 免疫寛容 |
研究実績の概要 |
本研究は、転移を来したリンパ節内のリンパ球が結果的に癌細胞を攻撃していない原因を解明することが目的である。 2014年1月から2018年12月にcN0原発性乳癌に対してセンチネルリンパ節生検を含む手術を実施し、結果的に転移陽性で腋窩郭清となった79例を集積し、転移を来した乳癌症例で原発巣(P)と転移を伴うリンパ節(mLN)、転移を伴わないリンパ節(non-mLN)の3点がそろった100例のプレパラートを準備したが、すでに複数回精査され検体がロストされるなどマテリアルとして準備できない場合があったため、現在31例の3点が得られている。これらを免疫染色し細胞数をカウントし分布の傾向を見たところ、Stroma内では、PよりCaLNで細胞数が多くばらつきあり、Stroma内の脈管からリンパ球が流入してきている可能性が示唆された。また、intra-tumor内では、Pと比べCaLNで細胞数が多くないため、腫瘍内に入り込むリンパ球は原発巣もリンパ節も変わらない可能性が示唆された。CD8陽性率については、Pと比べCaLNでStroma内では低くintra-tumor内では高いことから、分母に相当する上述のCell count in stroma of CaLNで細胞総数が多く、ばらつきがあることがStromaのCD8陽性率を低減させたと考えられた。TIA-1陽性率については、PもCaLNも非常に低率であり、Stroma内もintra-tumor内も、活性化しているのは非常にわずかであることが示唆された。 以上よりリンパ節転移の中で癌に対して免疫学的に抗腫瘍効果が発揮されていない理由として、T細胞が癌特異的なcytotoxic T-cellに分化する前に抗腫瘍効果が解除されている可能性が示唆されている。さらに解析を進める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象症例の原発巣とリンパ節転移巣、転移を伴わないリンパ節、3者を集積している。現在のところ30症例と集積がまだ十分とはいえないためさらに進めていく予定である。その理由は、プレパラート貸し出しのままになっていて戻っていない症例や複数の切り出しにより対象病変がなくなってしまった症例があったことが挙げられる。また、免疫染色についても、人的負担のため作業が追いついていなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
コロナ蔓延が慢性化しており、社会的に業務が再開可能となってきているため、上記を進めて行く予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの蔓延により大学滞在時間の短縮による研究時間削減、および、学会活動の費用削減による。 今後、免疫染色の費用に充てる予定。
|