研究課題/領域番号 |
20K08964
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
昇 修治 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30433288)
|
研究分担者 |
関島 光裕 鹿児島大学, 先端科学研究推進センター, 協力研究者 (20568589)
岩永 健裕 鹿児島大学, 医用ミニブタ・先端医療開発研究センター, 特任助教 (40518916)
佐原 寿史 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 准教授 (90452333)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 虚血再灌流障害 / 腎移植 / アルゴン / ミニブタ / 大動物 / トランスレーショナル研究 |
研究実績の概要 |
移植医療における絶対的臓器不足は依然深刻であり、ドナー拡大は移植医の社会的責務である。脳死下提供に加え、心停止ドナーからの献腎提供を推進する戦略が必要であるが、適応拡大ドナーからの移植の長期成績は健常ドナーからの生体腎移植成績に及ばない。特に虚血再灌流障害(IRI)を含む急性腎障害への対策は欠かせない。近年、希ガスによる細胞保護効果が示されているが、大動物実験の報告では、有効性と無効性が混在しており、移植医療への応用には更なる評価が必要である。 我々はこれまでに、大動物腎IRIモデルでアルゴンの吸入効果と安全性を評価した。副作用は殆どないものの、十分なIRI抑制効が十分ではない可能性が示唆された(目的1)。しかしこのモデルではドナー腎臓の温虚血によるIRIが主体であったことから、主に冷保存が主体となる生体腎移植に準じたモデルを用いてアルゴン吸入効果の評価を進めた。獲得免疫系による拒絶反応の関与を少なくするため、クラウン系ミニブタを用いて、ドナー腎をUW液で5時間保存後、主要組織適合性抗原MHCが一致するレシピエントに腎移植を実施した。手術開始から再灌流2時間後までアルゴン吸入(70%アルゴン+30%酸素)を行う群と無吸入の対照群で、副作用の有無と腎障害の程度を血清クレアチニンの推移と腎生検で評価した。対照群の50%では術後5日目以降まで腎機能の回復が遷延したのに対し、アルゴン吸入群は全例が2日でピークに達した。しかし移植後腎機能に有意な差はみられず、今後、病理学的な検討やサイトカインなどの評価を通じて、アルゴン吸入の有効性について結論を得たい。
|