研究課題/領域番号 |
20K08966
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
大塚 幸喜 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (50316387)
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研究分担者 |
西塚 哲 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 特任教授 (50453311)
岩谷 岳 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (70405801)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 大腸癌 / circulating tumor DNA / 遺伝子変異 / 再発 |
研究実績の概要 |
大腸癌術後サーベイランスは早期再発発見により予後を向上することを目的に行われているが、検査頻度の多いIntensiveなサーベイランスと少ないLess intensiveなサーベイランスについてその成績を比較する多くの報告がされている。2010年代には、複数の大規模な試験でLess intensiveおよびIntensiveなサーベイランスで全生存率に差がないことが示された。しかし、それぞれの試験で、試験参加時の転移病変評価や再発に対する治療情報の不足などが見られ、未だガイドラインの改定は検討されていない。各ガイドラインで現在もIntensiveなサーベイランスが推奨される理由は、やはりCT回数の削減による再発発見の遅延が懸念されるためである。近年、腫瘍由来血中循環遊離DNA(Circulating tumor DNA: ctDNA)が患者特異的な血液バイオマーカ―として注目されている。大腸癌においてctDNA検査が画像診断に先行した早期再発発見や手術後の微小遺残病変検出が可能であることを示す多くの報告がなされており(4-6)、ctDNA検査はLess intensiveサーベイランスにおけるCT削減による再発発見の遅延の可能性を十分に補填できるものと期待される。しかし、これらのctDNA研究次世代シークエンサー(NGS)を用いており高額な検査費用が必要となるためサーベイランスの費用対効果は低いものと予測される。われわれは少数の症例特異的変異を対象としデジタルPCRを用いてctDNAのモニタリングを行うシステムを構築し、大腸癌でのその臨床的妥当性を報告した。現在、10例の再発を含む50例まで解析症例を増やし、①CT画像診断とctDNA検査の再発・無再発診断性能を比較し、②CT回数を1年あるいは2年ごとに削減したLess intensiveサーベイランで、どの程度再発発見遅延が生じうるか、またctDNA検査をサーベイランスに加えることで画像診断にctDNA上昇がどの程度先行するかを測定中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ctDNA解析用の採血管の価格上昇や症例特異的変異検出用のProbe/Primerの作製の増加により、検索可能な範囲で採血管本数や解析変異数を減少して研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
研究は順調に進行しており、集積中のサンプルについて順次解析を進める。本年は20例の原発巣および末梢血単核球のシークエンス解析、約200検体の血液サンプルのデジタルPCR解析を予定している。今後の実臨床における臨床的検査としての使用を重視し、ctDNA陽性・陰性判定の基準についてより明確化できるよう改善中である。1990年代から議論されている、大腸癌術後サーベイランスはIntensiveとLess intensiveのどちらがよいかという問いに、解答を出すことのできる段階に近づいている。CTなどの侵襲的な検査を削減しても、ctDNAにより半年以上早い
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が若干生じたが、必要試薬等に足る額ではないため、本年度の研究費に加える形で消耗品の購入に使用する。
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