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2022 年度 実施状況報告書

microRNA機能解析によるパクリタキセル耐性機序の解明と不応性の克服

研究課題

研究課題/領域番号 20K08971
研究機関大阪医科薬科大学

研究代表者

木村 光誠  大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (20623846)

研究分担者 谷口 高平  大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (70779686)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードmicroRNA / パクリタキセル耐性株 / ABCB1 / 抗癌剤耐性
研究実績の概要

進行再発乳癌は集学的治療を用いても、依然として予後不良である。原因として、化学療法薬耐性獲得による奏功性の低下がある。本研究では、乳癌化学療法で頻用するタキサン系薬剤Paclitaxel(以下PTX)の薬剤耐性機序をmicroRNA(miRNA)の発現変化から解明する。
本研究で使用する細胞はMCF-7(親株)、MCF-7/PTXR(PTX耐性株)である。予備実験でMCF-7とMCF-7/PTXRに対し、miRNAの次世代シーケンス解析を実施し、miRNAの挙動を網羅的に解析した。また、MCF-7/PTXRにおいて、PTXの細胞外排出を行うP糖タンパクであるABCB1の発現亢進も認めており、ABCB1を標的とするmiRNA群の機能解析も行った。
Webデータからは、miRNA-455-3pがABCB1に結合することが示唆された。網羅的解析の結果、miRNA-455-3pはPTX耐性株で有意に発現が抑制されていたため、このmiRNAに焦点を絞ることとした。miRNA-455-3pを耐性株に導入すると、PTXに対するIC50の改善とABCB1のタンパク発現低下を認めた。これより、miRNA-455-3pがABCB1の翻訳抑制を介して、PTXに対する耐性を一部解除している可能性が示唆された。また、miRNA-455-3pの発現低下によりABCB1の発現が亢進し、PTX耐性に関与している可能性がある。
次に、miRNA-455-3pとABCB1の結合性を検証するために、ABCB1の相補塩基配列部位を組み込んだプラスミド(野生型)と、相補塩基配列部位に変異を組み込んだプラスミド(変異型)を作製し、Luciferase Reporter Assayを行った。野生型ではABCB1の発現が抑制され、変異型では発現が抑制されなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

MCF-7/PTXRにおいて、miRNA-455-3pとABCB1、PTX耐性との関連性を検証できたため、さらに別の細胞でも同様の結果が得られるか検証している。
親株にmiRNA-455-3p inhibitorを導入した検証では、同結果は得られなかった。親株はもともとABCB1の発現が少ないため、miRNA inhibitorを導入した場合の変化が捉えにくかった可能性を考えている。そこで、親株を用いた検証にはABCB1過剰発現プラスミドを作製し、さらに検証を重ねたが、思うような結果は得られなかった。ひとつの細胞にmiRNA、過剰発現プラスミド、PTXと導入するものが多く、実験系として限界だった可能性を考えている。

今後の研究の推進方策

もともとABCB1発現の高い乳癌細胞株DU4475を用いて、miRNA-455-3pとPTX耐性の関連性を同様に検証する。それと同時に、乳癌細胞株に限らず、他の癌種のPTX耐性株を用いて、miRNA-455-3pとABCB1、PTX耐性との関連性を検証する。さらに、NGSで同定されたPTX耐性株で発現が上昇したmiRNAに関しても機能を解析する計画である。

次年度使用額が生じた理由

これまでに見出した結果をさらに強固なものにするため、使用していた細胞にmiRNA、過剰発現プラスミド、PTXを導入する実験を行ったが、導入する物質が多く実験結果に妥当性がないと判断した。そこで、新たに細胞株を追加して実験を行うことを次年度にかけて計画したため、その実験費用に充てることとした。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] microRNAの発現変化による乳癌Paclitaxel耐性機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      高井早紀、谷口高平、猪俣陽介、木村光誠、岩本充彦、李相雄
    • 学会等名
      第55回制癌剤適応研究会
  • [学会発表] microRNAの発現変化による乳癌Paclitaxel耐性機構の解明2022

    • 著者名/発表者名
      高井早紀、木村光誠、奥浩世、碇絢菜、冨永智、坂根純奈、田中亨明、青木千夏、太田紅仁香、川植永里加、岩本充彦
    • 学会等名
      第30回日本乳癌学会学術総会
  • [備考] 大阪医科薬科大学 一般・消化器外科学教室 研究紹介

    • URL

      https://www.ompu.ac.jp/u-deps/sur/html/laboratory.html

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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