研究課題/領域番号 |
20K08972
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
小玉 正太 福岡大学, 医学部, 教授 (90549338)
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研究分担者 |
田中 智子 福岡大学, 医学部, 講師 (10380528)
坂田 直昭 福岡大学, 医学部, 准教授 (50431565)
吉松 軍平 福岡大学, 医学部, 准教授 (50569275)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 膵β細胞 / グルコセンサー / GLUT2 / Ca inflex / MIP-GFP Tg / Fura-2AM 標識 / 高感度血糖応答性 / 組織工学的膵島 |
研究実績の概要 |
β細胞にはイオンチャンネル輸送器官として Na+/Ca2+ 交換に寄与するNCXやTRPV4などが細胞膜に存在し、インスリンの分泌過程に反応系として必須の役割を担っている。我々は以前、このNCX拮抗剤をドナー膵島の移植前培養に用いることにより、移植効率の改善をもたらした事を報告している。この時にMIP-GFP マウス膵島から単細胞化したβ細胞を用いて、Fura-2AM 標識されたCa2+の取り込み実験を行ない、阻害剤を用いた時にはCa2+の流入が生じなかったことを結果として示した。この一連のCa2+の流入の動態より、GULT2より取り込まれたGlucoseの反応系を捉える事が出来ることに今回着眼した。 グルコースはGLUT2のトランスポーターを介してβ細胞内へ取り込まれ、ミトコンドリアでATP産生による細胞内濃度勾配変化により、ATP依存性K+チャンネルによる細胞膜での脱分極が起こりCa2+チャンネルが開くことでCa2+が細胞内に流入しインスリン顆粒が分泌する。この過程で膵島単離後 Single cell 化された、MIP領域に GFP が標識された MIP-GFP Tgマウスのβ細胞を用いることで、インスリン蛋白がGFPで標識されている細胞が cell sorting を経て供給される。これらの single cell 化されたβ細胞にグルコース濃度が200mg/dl, 400mg/dl の培養液で培養し RFP標識されたCa2+の取り込後の細胞を再度 cell sorting により選別後、今年度はクラスター解析を行い候補遺伝子の選定を行う予定であった。 ところが、C57BL/6 MIP-GFP Tg ♂の交配が進まず、クラスター解析には至らなかったが、現在β細胞選択はないものの、 Ca inflex のみの実験でsorting gate 設定を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID19 流行に伴う緊急事態宣言の規制下において、構内への入校制限が制限されたため、アニマルセンター内への入構とそれに伴うマウス管理が適わず、C57BL/6 MIP-GFP Tg ♂の交配が進まなかった結果、コロニーの維持が不可能となった。そのため、米国 Jackson Laboratory から再度輸入を行なったが、通常の手続きも大幅に遅れたのち交配を再開している。本来β細胞選択肢を保持しCa inflexの実験を施行する予定であるが、膵島からの single cell で sorting gate 設定を行い、実験を進めている。しかしながら、Ca2+の取り込モデルマウス: Tg(ins: GCaMP2) x Tg(ins: cdt1-mCherry)の作製に関しては、既にコンストラクトが作製済みであるためにC57BL/6 background でモデルマウス作製を依頼している。遺伝子改変動物を作成することで、数多くの動物から単離した初代細胞を用いて、より詳細な遺伝子属性に起因する機能解析が大きなスケールで可能となるためである。2009年樹立したβ細胞など内分泌単細胞からの膵島細胞再編手技を用いて、中等度高血糖反応型膵島と高度高血糖反応型膵島の組織工学的膵島を再編し、in vitro 実験にて血糖応答性を確認するための準備を行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
(1) グルコセンサーの同定 C57BL/6 MIP-GFP Tg ♂の膵島を単離し、single cell 化する。β細胞のみを GFP+ 細胞として sorting し、(予備実験で 140mg/dl), 200mg/dl, 400mg/dl で Ca2+の取り込み実験を行う。正常血糖(100mg/dl)、中等度高血糖(200mg/dl)、高度高血糖(400mg/dl)群でCa2+が取り込まれたβ細胞を再度sorting し、サンプルのクラスター解析でグルコセンサー候補遺伝子を選定する。 (2) Ca2+の取り込モデルマウス: Tg(ins: GCaMP2) x Tg(ins: cdt1-mCherry)の作製 コンストラクトは既に作製済みであるためにC57BL/6 background でモデルマウス作製を依頼する。遺伝子改変動物を作成することで、数多くの動物から単離した初代細胞を用いて、より詳細な遺伝子属性に起因する機能解析が大きなスケールで可能となる。2009年樹立したβ細胞など内分泌単細胞からの膵島細胞再編手技を用いて、中等度高血糖反応型膵島と高度高血糖反応型膵島の組織工学的膵島を再編し、in vitro 実験にて血糖応答性を確認する。 (3) 血糖高感度β細胞とその候補遺伝子の発現阻止細胞各々の不死化 cell line 作製 (1)で得られた結果を(2) で作製されたモデルマウスで検証し、選別された細胞にSV40の導入を行い血糖高感度β細胞とその候補遺伝子の発現阻止細胞の不死化した cell line を作製する。Cell line を用いて中等度と高度に血糖へ反応する膵島のイオンチャンネル・トランスポーターに標的を絞り、培養細胞でそれらの相補性を確認するため、Realtime PCR array を用い評価する。
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