研究課題/領域番号 |
20K08973
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
古川 孝広 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 非常勤医員 (70444916)
|
研究分担者 |
向原 徹 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 科長 (80435718)
内藤 陽一 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (90590373)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 乳がん / 脳転移 / HER3 |
研究実績の概要 |
乳がんの脳転移は臨床では5-10%に認められ予後不良因子と考えられる。薬物療法は、血液脳関門の存在により、薬剤が到達しにくいことなどの理由から期待できないが、HER2陽性乳がんにおいて、HER2を標的とする抗体結合薬であるトラスツズマブ-エムタンシン(T-DM1)が脳転移にも有用であることが報告され、T-DM1がその大きい分子量にも関わらず脳転移に効果を示す理由として、脳転移が生じる際に血液脳関門が破綻し、ドラッグデリバリーが効率的な抗体結合薬が有用であった可能性が示唆されている。最近HER3を標的とした抗体結合薬の治験が進められているが、HER3は転移臓器において高発現することが示唆されている。 転移性脳腫瘍のサンプルと原発標本のサンプルを確保し、HE(TILs評価目的)、ER、PgR、HER2、EGFR、HER3、CD8の免疫染色を行った。全ての標本に対する病理学的な評価を実施し、予後解析などに必要なデータも収集し、現在統計解析を実施した。HER3が他のタンパクと比べて脳転移に優位に高発現することを確認し、U3-1402といったHER3を標的とする抗体結合薬など新規薬剤のターゲットとなりうるか評価する。またHER3の予後との関係など、他のバイオマーカーも含めた、予後解析を行う。本年中に研究での論文完成が見込まれるとともに、追加の研究についても予定しており、来年度での完成を目指している。 本研究の結果が仮説通りの結果であることを確認し、国内での医師主導試験の実施を目指し、企業と交渉中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は順調に進捗しております。
|
今後の研究の推進方策 |
現時点まで順調に進捗が得られておりますので、本年度に論文発表を見込んで研究を継続してまいります。
|
次年度使用額が生じた理由 |
想定よりも条件設定が容易に済むことで、出費の軽減につながっている。
|