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2021 年度 実施状況報告書

乳がん脳転移症例におけるHER3等治療標的の探索

研究課題

研究課題/領域番号 20K08973
研究機関国立研究開発法人国立がん研究センター

研究代表者

古川 孝広  国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 非常勤医員 (70444916)

研究分担者 向原 徹  国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 科長 (80435718)
内藤 陽一  国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (90590373)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードHER2 / HER3 / TROP2 / 脳転移
研究実績の概要

転移性乳がん患者を対象として、HER3に対する抗体結合薬(ADC; U3-1402)やTROP2に対するADC (DS-1062, Sacituzumab Govitecan)の治験が実施されている。乳がんでは、脳転移巣と原発病変のサブタイプの不一致が報告されており、両病巣のHER3などバイオマーカー発現の相違を評価することは新薬の開発戦略を立てたり、脳転移の分子機構を理解したりする上で意義深い。  特にHER2陽性乳がんではDS1062(HER2-ADC)やtucatinibの脳転移の効果が示唆されており、脳転移のバイオマーカー評価は極めて重要な治療方針につながり、脳転移の多いトリプルネガティブ乳がん(TNBC)においてもHER3やTROP2といった治療ターゲットになるマーカーの探索は今後の治療開発において重要といえる。
国立がん研究開発センターにおいて、原発病変並びに脳転移の組織が保存されている45例の標本でER/PgR/HER2/Ki67/EGFR/CD8/HER3/TROP2/B7-H3の免疫染色を実施した。
脳手術時の年齢中央値は53歳(34-78歳)、原発組織と転移組織の採取期間の幅は0.5-22年であった。乳癌サブタイプは8/18/14/4例でTNBC/HR+HER2-/HR+HER2+/HR-HER2+と同定された。HER3 2+/3+は原発巣で26例(59%)、脳転移巣で40例(91%)に認められた。HER3 H-scoreは、脳組織で135±60と原発巣(79±63;p=0.00012)に比べ有意に高値を示した。HER3 2+/3+は,TNBCでは6/8(75%)、HR+HER2-では16/18(89%)、HR+HER2+では14/14(100%)、HR-HER2+では4/4(100%)で脳転移巣に観察された。HER2発現はHR+HER2+/HR-HER2+で16/18(89%)とほぼ同レベルであり、原発巣と転移巣のIHCスコアにほとんど変化はなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ESMO2022への投稿をおこないました。今回はHER3にフォーカスを当てた研究としましたが、TROP2を含めた追加研究が既に実施済みですが、論文作成時に含めます。
今後は免疫多重染色を追加して、主要周囲環境の評価による薬物治療の治療効果を追加する。

今後の研究の推進方策

本年度にESMOに研究内容を発表予定であり、学会発表の有無にかかわらずに本年度中の論文投稿を目指す。

次年度使用額が生じた理由

今後は免疫多重染色の追加、並びに英文校正、学会発表並びに論文作成に必要となります。

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公開日: 2022-12-28  

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