研究課題/領域番号 |
20K08977
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 完 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (80598508)
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研究分担者 |
木戸 丈友 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任講師 (00401034)
藤代 準 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60528438)
林 洋平 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, チームリーダー (90780130)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 胆道閉鎖症 / 疾患特異的iPS細胞 / 全ゲノム解析 |
研究実績の概要 |
2022年度は、これまでの6例に加えて5例の胆道閉鎖症患者さんからiPS細胞を樹立し、特性解析を行っている状態である。これらの5例では研究費が足りず全ゲノム解析を行えていない状況である。 研究期間全体を通しての成果は、1)計11例の胆道閉鎖症患者さんから疾患特異的iPS細胞を樹立した。2)11例中6例では、樹立iPS細胞の特性解析も終了しそれぞれの全ゲノム解析も行った。3)特性解析を行った6例のすべてのiPS細胞からCPM陽性肝前駆細胞への誘導および胆管上皮細胞への誘導が可能であることを確認した。4)6例中1例では、Virtual Karyotyping解析によって特異的な欠失が確認され、欠失部位はMETTL9、IGSF6、OTOA遺伝子の発現に関与しており、特にIGSF6はそのノックアウトマウスでは肝臓関連の異常表現型があることを見いだした。5)全ゲノム解析のデータから、6例中2例以上で重複してみられる変異・多型を約3000ヶ所見いだし、肝臓・胆のう関連の疾患をもたらすことが知られている遺伝子変異・多型や遺伝子破壊マウスで肝臓・胆のうに異常がある遺伝子における変異・多型などから絞り込みを行い、Allele frequencyを考慮しEPHA6、MUC5B、ASPSCR1、ACOXL、EVC2、ERAP1の6つの候補遺伝子を見いだした。上記の成果を、日本外科学会および日本小児外科学会において発表した。 当初の研究目的である胆道閉鎖症の病態解明の成果は得られなかったが、胆道閉鎖症自体単一の遺伝子異常による疾患ではないと考えられており、本研究の現時点の成果として胆道閉鎖症ではある程度は胆管が形成されることや胆管上皮細胞の異常が原因ではない可能性(肝臓の免疫担当細胞の異常など)は示唆されることから、今後これまで見いだした候補遺伝子を詳細に解析して胆道閉鎖症の病態解明につなげることを計画している。
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