HER2陽性乳癌やトリプルネガティブ乳癌という悪性度の高い乳癌は全体の3分の1程度を占め、その再発率の高さや再発後の生存期間の短さが問題である。本研究では悪性度の高い乳癌が持つ可塑性に着目してその性質を阻害する薬剤を見出すことにした。腫瘍の増大には血流の獲得が必要だが、乳癌細胞自身が血管内皮様の性質を持つことがある。本研究で申請者はデファクチニブという低分子薬剤が乳癌細胞を動きにくくして血管様の構造をとることを阻害し、腫瘍の増大を抑制することを初めて見出した。これは乳癌治療における新たな治療法となる可能性を持つ。本研究の更なる発展により、乳癌の治療成績の向上が図られることが期待される。
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