研究課題/領域番号 |
20K08982
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
井手 健太郎 広島大学, 病院(医), 講師 (50511565)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 抗体関連型拒絶反応 / 制御性B細胞 / IL-10 |
研究実績の概要 |
抗体関連型拒絶反応 (AMR) は移植臓器廃絶の主要な原因の1つであり、ドナー特異的抗HLA抗体 (DSA) の存在はAMRの危険性を高める。我々はこのような高度に感作した移植希望患者に対して、B細胞分化様式に即した脱感作療法を独自に考案し、DSAの産生を制御し移植を可能とさせた。しかし本脱感作療法施行後には抗ドナーT細胞応答の亢進を来し、細胞性拒絶反応発症の危険性を高めるため、プロトコールの更なる改良が望まれている。我々はこの抗ドナーT細胞応答亢進の機序には、制御性B細胞 (Breg) の欠落が影響しているのではないかという知見を得た。本研究では高感作マウスモデルでBreg機能を保持しつつDSA産生を制御する、新規抗体関連型拒絶反応治療薬の可能性について検証し、今後の実臨床へ応用することを目的とした。 我々はこれまで高感作Balb/cマウス(class I H-2Kd) マウスモデルを用い、T細胞応答亢進機序の解明を行ってきた。本研究ではB細胞特異的IL-10欠損マウスを用い、同種異型T細胞応答の抑制機序の解明を行うこととしているが、Balb/cバックグラウンドでB細胞特異的IL-10欠損マウスを作製することは困難であるため、C57/BL6マウス(class I H-2Kb)バックグラウンドで、B細胞特異的IL-10欠損マウスの作製を行うこととした。マウス作製前に高感作C57/BL6マウスにおいても高感作Balb/cマウスと同様に、抗CD20抗体投与により同種異型T細胞応答が亢進するかの確認を行った。その結果、高感作C57/BL6マウスにおいても高感作Balb/cマウスと同様の結果が得られたので、現在C57/BL6マウス(class I H-2Kb)バックグラウンドでのB細胞特異的IL-10欠損マウスの作製を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
自研究室でのB細胞特異的IL-10欠損マウスの作製に難渋している。 作製するマウスのバッググラウンドを変更することとし、マウス作製前に確認しておいた方が望ましい点が判明したため、想定外の時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
自施設のみではなく、先端モデル動物支援プラットフォームのモデル動物作製支援事業に応募し、B細胞特異的IL-10欠損マウスの作製を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
B細胞特異的IL-10欠損マウスの作製がやや遅れているため、マウス作製後の研究に遅れを生じている。次年度にはマウス作製が完成予定のため、作製後の研究に必要である。
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