研究課題
C57/Bl6マウスの同系胃癌細胞株YTN16を用いてIn vivo selection法にて腹膜高転移株YTN16Pを作成した。YTN16Pは、In vitroでは親株と比較して高い増殖能、浸潤能を有し、PD-L1より高率に発現しており、親株と比べてフィブロネクチンを多量に産生した。YTN16P(1x105細胞)を腹腔内投与後7日目から3日毎に計4回、抗PD-1抗体またはIsotype control抗体を腹腔内または尾静脈から投与し、18日目に安楽死させ腹膜播種数を観察すると、腹腔内投与、全身投与ともに、播種数は対照群と比べて約半分程度に減少していたが、投与経路による差は認めなかった。これらのマウスの脾臓内免疫細胞の割合を検討すると、抗PD-1抗体を投与した群では、CD4(+)やCD8(+)のTリンパ球の割合が増加し、CD11b(+)Gr-1(+)のGranulocytic-MDSC(G-MDSC)は低下する傾向を認めたが有意差は認めなかった。しかし、腹膜播種巣の切除切片を免疫染色すると、PD-1抗体で治療した腫瘍内に浸潤したCD8(+)T細胞の頻度は高く、G-MDSCは低い傾向を認めた。また、腹膜播種マウスの腹腔内液中の免疫細胞をflowcytometryで検討すると、PD-1抗体治療群にて、CD3(+) T 細胞が増加していた。磁気ビーズ法を用いてT細胞を分離し、PMAで刺激するとIFN-gamma, granzyme 産生能をPD-1抗体投与群で上昇していた。一方、腹腔内のG-MDSC やF4/80(+)CD163(+) M2マクロファージの割合が減少していた。以上のことから、PD-1抗体は腹腔局所におけるがん免疫微小環境に変化をもたらし、腹膜播種に対しても抑制効果を発揮することが判明した。
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