研究課題/領域番号 |
20K08991
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 啓介 埼玉医科大学, 医学部, 客員講師 (50724887)
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研究分担者 |
古村 眞 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (10422289)
中山 泰秀 東京大学, 医学部附属病院, 客員研究員 (50250262)
疋田 温彦 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (60443397)
藤代 準 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60528438)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生体内組織形成術 / 多能性再生幹細胞含有ゲル 再生医療 / biosheet / 筋肉再生 / 再生医療 |
研究実績の概要 |
生体内組織形成術(in-body tissue architecture, iBTA)は、生体の皮下などに非吸収性の鋳型を人為的に埋入してbiosheet/biotubeと呼ばれる線維性被膜を形成させる技術である。我々はbiosheetをウサギ横隔膜に自家移植すると筋組織が再生することを報告し、biosheetに筋肉再生に必要な幹細胞や増殖因子が含まれていると推察した。そこで本研究では、biosheetの細胞・タンパク質を含むゲル(多能性再生幹細胞含有ゲル)を作成し、注入療法による筋肉再生を行うことを考案し、胃食道逆流症や鎖肛術後の便失禁など筋肉の低形成・機能不全を有する小児外科疾患に対し、新たな治療法を開発することを目指した。 まず、マウスでbiosheetを作成し、フローサイトメトリー解析とプロテオーム解析により含まれる細胞・タンパク質の解析を行った。その結果、biosheetに間葉系幹細胞(MSC)や肝細胞増殖因子などが増加しており、組織再生への関与が示唆された。 続いてGFPマウス由来のbiosheetより採取・培養した細胞を生分解性ゲルに懸濁し、注入可能なゲルを作成した。これをC57BL/6Jマウスの腹直筋に局注して移植し、筋肉増生能を組織学的に検討した。4週後に注入したGFP陽性の細胞は生着していたが、筋組織の増生は認めなかった。 正常筋肉に対しては本ゲルの筋再生能が惹起されないと考え、Cardiotoxinを腹直筋に注入することで筋損傷を誘導したマウス腹壁筋損傷モデルを新たに確立し、本ゲルを局注して検討した。しかし、同様に組織学的にはゲルによる筋再生促進効果は確認できなかった。 本研究では筋再生能を有するゲルの開発には至らず、biosheetのMSCのみを単離して懸濁したゲルや、タンパク質を溶解したゲルの作成など、さらなるゲルの作成方法の改良が必要と考えた。
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