研究実績の概要 |
2022年度は、出血をAIモデルが自動認識し、リピート再生する止血支援システムを開発し、実証試験を行った。Olympus社のVisera Eliteから得られた教師画像を学習させることで、AIモデルを作成して止血支援システムに組み込み、Intuitive Surgical社のDavinciの映像を用いて、実証実験を行った。 その結果、AI推論解析速度は30frame/sec以上であり、出血シーンを自動認識出来、リピート再生も可能で、現場の外科医からは高評価を受けた。しかし、出血検出の精度不良も一部で認められた。原因としては、出血の過大・過小検知から、出血シーンの自動認識が想定通り機能していないことがわかった。また、各社手術内視鏡システムごとに精度が変動することがわかった。 そこで、各社のシステムから教師画像を作成し、学習モデルを再構築した。さらに、教師画像を段階的に増加させ、各段階で評価した。評価画像は、Olympus社VE1、VE2、Intuitive Surgical社のDXi、Stryker社の1488HDから得られた手術画像を元から抽出した未学習の画像を用い、医師が出血した領域をアノテーションした画像を正解画像とした。正解画像とAI推論画像を比較しピクセル単位の一致率を求め、評価指標は医用画像の領域で頻用されるDice係数を用いた。 2022.8月にVE1の学習データを用いて評価を行い、OVE1とDXiのDice係数は、それぞれ0.855, 0.477であった。2022.11月にDXiの画像を200枚追加すると、0.526に上昇し、2023.3月にさらに200枚追加すると、0.567に上昇した。OVE2や1488HDは、学習データが少ないにもかかわらず、それぞれ0.616, 0.702と比較的高値であった。 今後は、Dice係数:0.8以上を目標として学習を進める。
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