研究課題/領域番号 |
20K09001
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
木村 憲央 弘前大学, 医学研究科, 講師 (60436029)
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研究分担者 |
袴田 健一 弘前大学, 医学研究科, 教授 (30271802)
三浦 卓也 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (30722136)
石戸 圭之輔 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (00436023)
長瀬 勇人 弘前大学, 医学部附属病院, 客員研究員 (10750862)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 障害肝 / 大量肝切除 / 肝不全 / 肝再生 / 有機アニオントランスポーター / マイクロアレイ / ラット / 遺伝子 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,肝障害下での肝切除による急性肝不全の発症における有機アニオントランスポーターの関与とその機序を明らかにすることである.「障害肝に対する肝切除における有機アニオントランスポーターの動き」に着目し,現行の研究を発展させた点が本研究の大きな特徴である.各種有機アニオントランスポーターの解析は,本研究の目的である障害肝に対する大量肝切除法の開発に寄与できるのみならず,有機アニオントランスポーター発現変動調整という視点から新たな肝不全治療法の開発にもつながると考えられる. ラット障害肝・肝切除後肝不全モデルを作製した.肝障害誘導薬としてThioacetamideを腹腔内投与 (2回/週,5週間)し大量肝切除を負荷し,障害肝・肝切除後肝不全を引き起こし且つ生存可能であるラットを確認することで上記薬剤の至適投与量を決定した.さらに,経時的に肝組織と全血を採取した.肝組織からmRNAを抽出し,肝障害の程度をみるために組織学的に評価した.また全血より各生化学的データ(肝逸脱酵素,胆道系酵素,サイトカインなど)の推移を評価した. 今後は,マイクロアレイによる網羅的な遺伝子発現解析と,RT-PCR法による有機アニオントランスポーター遺伝子変動について解析する.更にそれらの変動遺伝子が実際に機能しているかを,Western blot法にて蛋白発現量を解析し,免疫染色にて局在分布を明らかにする.最終的に各種フィブラート製剤投与により,障害肝・肝再生時肝不全ラットの,有機アニオントランスポーター発現調整と肝不全の軽減効果を評価する.これらが達成できれば肝不全治療に対する新規治療の基盤となる可能性がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラット障害肝・肝切除後肝不全モデルの作製にあたり,肝障害誘導薬としてThioacetamide (200 mg/kg) を腹腔内投与 (2回/週,5週間)し大量肝切除を負荷した時点で生存不可能なラットが多数あった.従って,大量肝切除に耐え得るであろうThioacetamideの至適投与量の調整に難渋した.これによりmRNA抽出が遅れたためマイクロアレイ解析が出遅れた.従ってそれに引き続いて行う予定であったRT-PCR法や病理学的検討に入ることができなかった. また,コロナ禍のため,情報収集目的で出席予定であった国内および国際学会に参加できなかったため,研究を円滑に遂行するための十分な実験情報を得ることができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は予定より若干遅れているものの,令和4年度にはRT-PCR法や病理学的検討などを施行する予定であり,予測していた研究成果が出るものと考えている.また,本研究は申請者らが現在進行形で遂行している研究テーマを発展させる中で考案されたものであり,これまで多くの研究実績を有している.したがって,当教室研究実施計画に則って本研究は遂行可能であると考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が若干遅れたため,令和2年度,3年度に購入予定であったマイクロアレイやRT-PCRに用いる試薬を購入できなかった.また,コロナ禍のため国内および国際学会への参加制限が生じたため旅費として使用できなかった. 購入できなかったマイクロアレイ,RT-PCRや病理学的検討に用いる試薬などの物品は,令和4年度に購入予定である.本研究を予定通り遂行し,その都度必要物品を購入予定である.また,コロナ禍の動向次第ではあるが可能であれば国内および国際学会参加も考えている.
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