2021-2022年度は左右反回神経の動脈反回部近傍での反回神経、食道周囲密性結合織および周囲リンパ節との関係をを検討してきた。本研究に関しては、本学臨床解剖学教室の屍体を用い、10%ホルマリン固定された屍体を用いて縦隔部分の組織切片を作成し、凍結寒天ブロックとした縦隔部分を水平断にて5mm間隔で切り出し、パラフィン包埋後に10μmで薄切し、H&E及びEVG染色を用いて密性結合織の連続性を検討している。また左右反回神経反回部では亜連続切片を作製し、同部位での連続折版を作成した。その結果、反回神経反回部では内臓鞘が不安定な構造となり、迷走神経から反回神経が分岐していた。その後、反回神経は上向して再度内臓鞘内を走行することがが判明した。反回部での内臓鞘によって内臓鞘よりも臓器側のリンパ節と、そうでない内臓鞘が不安定な領域に存在するリンパ節に区分されることが判明し、論文化を進め、Esophagusにアクセプトされ、publishされている。 また内臓鞘および血管鞘といった密性結合織がどのように形成されるかを検討するために胎生4ヶ月および8ヶ月の屍体を用いて発生学的見地からも十分に検討を行っている。その結果、胎生期では内臓鞘の形成はほとんど認められなかった。血管鞘に関しては発生段階の進行とともに徐々に形成されることが判明した。 よってこれらの密性結合織は後天的に動的刺激によって形成されている可能性が考えられruるが、現在引き続き論文化を進めているところである。
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